白んだ空に浮かぶ色///


がしゃーん!がらんらがらんがらん…

家中に響くほどの音を立てて金属質なそれが床に散らばる。
しまった、という顔のまま硬直するハンの頭上がふっと暗くなったかと思うと、鋭い拳骨が彼に降り注いだ。

「ぎにゃ!?」と情けない声とともに柔らかい白色のカーペットへとうずくまる。実に不機嫌といった表情のリカルドがそんなハンの首根っこを鷲掴み、持ち上げた。頭を押さえたまま宙にぶら下げられ、涙が滲んでいる目でハンがじとりと睨みつけながら言う。「そんにゃに拳骨の威力があるくせに…」と。ぴきりとリカルドの額に青筋が浮かんだのを確認し、さっと口を手で押さえるものの…飛び出してしまった言葉は戻ることはない。

出てけ!と何度目になるかもすでにわからない怒号とともにハンがぽーいと外へと放り出される。にゃあああ、と悲鳴を上げながら白い塊が早朝のレタラ村の空へと舞った。

今日も今日とて、その扉をどんどんと小さな手で叩いて、彼はこういうのだ。
「帰らないにゃ!オトモにするにゃ!!」と。
一度たりともその言葉に返事があったことなどないのだが、それでもハンは懇願を続ける。まるで何時かの日に確信を持っているかのように。




ハンによって散らばったままだったそれをリカルドが鬱陶しい顔をしながら拾い上げる。

「ったく、ちいせぇのに持てるわけねぇだろうが…っつーかどっから引っ張り出してきやがったあの泥棒猫め…」

ブツクサと文句をいいつつ、片手でひょい、ひょいと。床に落とした程度では傷一つもつかない。それどころか、久々に触れたそれは一点の曇りもなくぎらぎらと光を照り返し、リカルドの顔を映し返す。
次はあの馬鹿の手が届かないところにと思いながら、何気なく部屋を移る。大きな物置べやのその最奥へと押し込もうと。


その大太刀とメットが片されることは終ぞなかった。

mae  tugi
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