風だけが見ていた丘の上///


対して、トトが立ち去ったあとのアイルーたちはといえば、空気的にはどうみてもお通夜モードだった。
息苦しいほどの威圧感がなくなり、腰が抜けてどさりと座り込むものが大多数だった。荷物を手にしたハンのことをオリーは見つめる。その手足は未だに小刻みに震えていた。視線に気が付いて、ハンはオリーの方へ向き、それを知った。

「オリー、大丈夫かにゃ」
「だっ…!だい、だいじょうぶに…きま、き、まってるにゃ…!おおおおおお前に、心配されるほどっ……」

強がっているが、相変わらず耳は後方へぺたりと伏せたままだし、しっぽはくるりと内側へと丸まっている。声も時々裏返るオリーを見て、ハンはどことなく彼らが遠い世界にいるような気がしたのだ。「おおげさだにゃぁ」とハンは笑い飛ばしながら、ようやく立ち上がったギルバートに手伝ってもらいながら、いま一度出会えたアイテムたちを仕舞い直した。二度と出会えぬと思っていたマカネコピックの柄を、ハンは嬉しそうに撫でる。今の今まで口を閉ざしていたギルバートが、言った。

「ハン…あのティガレックスとあったことがあるのかにゃ」
「にゃ……あるにゃー…あいつに助けられたにゃ。」
「助け…?」

これで二回も助けられたことになっちゃうにゃぁ、とうつむきながらハンは言う。その様子も、言葉も、ギルバートやオリー立ちから見れば異常、あるいは異質にしか見えなかった。だが、そこはかとない未知への恐怖感とともに、どこか安堵にも似たものがその心を支配する。再び黙ってしまったギルバートやオリーに、ハンは困ったように笑いながら、手に持っていた小さな袋を、投げつけた。少し前ならそんな行動は取ることができなかっただろう。だが、彼も薄々理解してしまった。もはや、戻ることもできないと。

「にゃ!?」
「それ、雪山で採ったやつにゃぁ。もう遅いのはわかってるにゃ…でも、それくらい、させてくれにゃ。」

油断をしていたとばかりのオリーは、ぽいと投げ渡された袋にまでぎくりと肩をこわばらせた。自身に対しては見たこともない反応に、ハンの気持ちは穏やかさをますと同時に悲しみを覚える。キャッチすることもできずに、その袋は地面へと転がった。緩んだ袋の口から、中に入っていた一部の鉱石や植物が溢れた。

肩の力がゆるゆると抜けていくオリーは、相変わらずぺたりとしっぽと耳をたらしたまま、その鉱石たちを見つめていた。

mae  tugi
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