孤独な夜、旅に出た///


「そ、そんにゃ…が、がんばるにゃ!次こそちゃんと…ちゃんと…!だから、だからおねがいにゃ…!」

リーダーにすがりつくハンを、他のアイルーが引き剥がす。
二人の間に立ちふさがって、彼はきつく戒めた。

「そのチャンスを振ったのはお前にゃ!!!リーダーも、みんな、お前を信じていたにゃ!!なのに、なのに!一人で逃げ出したのは、だれにゃ!?」
「そ、それは…!だって…」
「だってじゃないにゃ!あのあと、お前を探しに行ってギルは怪我をしたにゃ!俺たちだって、あいつらに食われるところだったにゃ!それでも氷結晶もはちみつも全部集めて帰ったにゃ…!それなのに、お前は、お前は…」

叫ぶようにそう告げるアイルーの背をリーダーは叩く。はっとして、バツが悪そうに後ろへ下がった彼に代わり、リーダーがいま一度告げた。

「…ハン、俺たちも待ったにゃ…今回の遠征で、せめて逃げ出さずに少しでも克服してくれたらと思って、行かせたんだにゃ…そうしたらきっと、お前がこんにゃ目にあわなくても済むと、信じてたんだにゃ」
「リーダー…」
「許して欲しいにゃ、ハン。」


みな、お前には呆れてしまった、と囁くような声が聞こえた気がした。
じわりと視界が滲む。何か言わなくてはと思っても、口から漏れるのは嗚咽ばかりで、声になることはなかった。

一日の猶予はやる、と別のアイルーが告げ、背を向けた。
それを皮切りにハンを取り囲んでいた全員が目もくれずに姿を消した。
結局、誰一人としておかえり、などと言ってくれることはなく、彼の淡い希望の全てが打ち砕かれた瞬間だった。


ぼたぼたと溢れる涙。拭っても拭っても、止むことはない。
命からがら帰ってきたのに、と言いたくともいう相手もいなかった。

その夜、ハンは荷物をまとめ、朝を迎えるより先に立ち去った。
誰一人として別れの言葉を告げることも、なかった。




mae  tugi
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