TOV:アレクセイ嫁///


御剣の階梯。

そこでユーリ一行とアレクセイたちは対峙していた。
いや、正確に言えばアレクセイの傍らに動かぬまま揚羽はたたずんでいるだけであるし。
またエステルはアレクセイに操られていたが、それはいいとしよう。
無事、アレクセイがザウデ不落宮を復活させ、彼がそこへ行こうとしたとき今まで動かなかった揚羽が動いた。

「アレクセイ。行くのですか。」

ぽつりと、今まで傍らでたたずんでいた揚羽が口を開いた。
アレクセイはザウデ不落宮を見つめていた視線を揚羽に向けた。
それと同時に、是、とうなずいた。
頷いたことを確認して、揚羽は目を伏せた。
するりと自然な動作で揚羽がその薬指にはめていた数少ないアクセサリーを、外す。
薬指で上品に輝いていた、婚約指輪を。

「あぁ、すまない。
お前は連れて行くわけにはいかない。」
「元より、存じております。
なら、これはお返しいたしましょう。」

ゆるりと、しかしためらいなくその指輪を揚羽はアレクセイに手渡した。
ぐっとアレクセイはその感触を確かめるように握りしめ、すぐに懐へとそれをしまった。
それは、その行動はつまり。
揚羽とアレクセイ、数十年来の関係の解消を示していた。
同時に、アレクセイの完全なる騎士団からの離別も。


「君たちがここまで来なければ、こんなことにもならなかっただろうに。
我に返った時の姫の事を思うと、心が痛むよ。」

いまだに動けないユーリ一行ににこりと嫌味らしくアレクセイが笑う。
ぎり、とユーリたちの武器をつかむ手に力が込められた音がした、気がする。
自由の利かない体で、彼らはアレクセイをにらんだ。
その射殺すような視線もものともせず、「では、ごきげんよう。」と、
これまた嫌味らしく恭しくユーリたちに一礼し、アレクセイはちらりと揚羽を見た。

「     」

アレクセイがそこから立ち去る間際。
風の音にかき消されながらも揚羽は呟いた。
なんとか聞きとれたその言葉に、ふっとアレクセイは彼らしからぬ笑みをこぼした。



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また、お逢いしましょう。そんな戯言めいた言葉に誓う。

かなり古いのをサルベージ。懐かしすぎて今血反吐吐いてます。

mae  tugi
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