Merry Mary 5///

廊下の隅に置いてある花瓶へとイヴとギャリーが近づいた。
そして懐からイヴが少し元気のない赤いバラを取り出して、水に活けた。
きらりと煌めいたかと思うと、赤いバラは元気よく咲き誇る。
まじまじと揚羽がその様子を眺めていた。
ちらりと花瓶の中を見れば、中にあった水はすっかりとかれてしまっている。
そういえば、とギャリーもまた青いバラを取り出してこちらを向いた。

「アタシとイヴにも薔薇があったんだけど…もしかして二人もあるのかしら?」
「あぁ。ほら。」
「…うん、持ってるよ!黄色いバラ!」
「あらホントね。三人ともしっかり持ってるのよ」

メアリーが黄色いバラを取り出し、揚羽が胸元の白いバラを示す。
うんうんと満足そうに頷いたギャリーが、少し表情を固くしながら続けた。

「無くしたりしたらだめよ。誰かに渡すのも危ないからね。それから…」
「わーイヴのバラは赤なんだね!私のバラは黄色だよー!黄色好きなんだけど、ピンクも好きなんだ。あと青も!あ、もちろん、白も嫌いじゃないよ!」
「…人の話は聞きなさいよ」

ギャリーがとつとつと指を下りながら説明をするのだが、メアリーはそんな言葉も右から左とばかりにイヴの横でその赤いバラを見ながら楽しそうに笑っている。
ため息をつくギャリーに揚羽が言葉をこぼした。

「…私が聞いている」
「…そ、そうよね!それから、変なのがいたって言ったんだけど」
「あぁ…言っていたな」
「あいつら、どうも花が好きみたいで…」
「変なのと言ったら例えば」
「あ、えーと…なんていうのかしら。絵が動いたり、手が生えてきたり…」
「……いよいよもって、気味が悪いな」
「全くよ…」

きゃっきゃと楽しそうな声を上げるメアリーと、同じく嬉しそうなイヴを横目に、ギャリーの知る限りの話を教えてもらう。
揚羽は頭が痛いとばかりに眉間をぐっと指で押さえた。

「…まぁ、気をつけるに越したことはない、か…」
「…そうね…」

長居は無用とばかりにギャリーとイヴが一足先に歩き出す。
いつの間にか、先程まであった扉と壁が消えていることには…気がつかないふりをした。
ほら行くぞ、とメアリーの肩をぽんと叩く。
はぁい、と手を挙げながらメアリーが笑った。



mae  tugi
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