Merry Mary 3///
「あ、揚羽、白いバラもきれいだね!」
「薔薇…?」
ひとまず周囲の探索くらいしよう、としぶしぶ揚羽が提案したときだった。
はぐれると困るから、とメアリーと手をつないで、いざ歩こう…としたその瞬間だった。
メアリーが揚羽の胸元のポケットに気がついたのだ。
揚羽がメアリーの視線に連れられて自身の胸元を見て、ようやく気がつく。
薄暗いこの廊下に不釣合いなほど、その白色はよく映えていた。
「いつの間にこんなものが…」
「あのね、私も持ってるんだよ!黄色!」
「メアリーもかい?」
そういって白い薔薇からメアリーの手にある薔薇へと視線を移した。
手に握られている黄色いバラ。
それから、自分の胸元にあった白いバラ。
いつのまに、そもそもなぜ。
「白いバラもきれいだね」
「そうかい?色がないともいうんじゃないか」
「何色にでもなれそうだもの!」
にこにことメアリーは笑う。
それにつられて、揚羽も笑った。
(結局このバラはなんなんだい)
(バラはね、一心同体なんだよ!)
(…?)
mae ◎ tugi