■ ◇フラグニスト


ジョナサンの姿は俺以外見えない。



爽やかな風が入る日入りのよい部屋で一息ついた俺は、そっと近くにいたジョナサンに声をかけた。彼のダークブルーの髪が日の光に透けてキラキラと輝いている様子はそこらの宝石と比べ物にならないくらい綺麗で、思わず俺が目を細めるのも無理はないと思う。この姿をハルノに見せてあげたいし、彼ら親子の会話を実現させてあげたいとは思うけれど、なにせ手段がないからやりきれない。どうしたんだい?と首を傾げたジョナサンに、俺は笑って何でもないと声をかけた。そしたら何故か溜息を吐かれた。・・・何故だ。



「ねぇ、影崎。君は多分知らないだろうけど、今のディオは危ないから近づかない方がいいよ?それに、ハルノに会うのも抑えた方がいいと思う」
「・・・・・いやいや、奴が危ないのは今に始まったことじゃないだろ?それにハルノに会えないなんて俺から癒しとやりがいを取り上げるみたいなもんだし・・・ってか何でそんな事―――」
「――――影崎」



急に掛けられた声に、俺はびくりと身体を震わせた。不意打ちにも程があるし、今は昼の上にここは日向だ。なぜ、なぜこんなところに活動時間外の筈のこの館の主がいるのか全く理解が出来ないが、取り敢えずここは逃げるが勝ちなので適当な理由をつけて逃げようと思ったのです、が。



「どこに行く気だ、影崎」



なぜ男が男に壁ドンをされにゃならないのか・・・。どうせなら大人のおねーさんがよかったです。どうして好き好んでジョナサンボディのムキムキ吸血鬼にされたいと思うのか。・・・じゃなくて!とりあえず壁際に追い込まれているこの状況、助けてを求めてジョナサンを見たら言わんこっちゃない、みたいな顔をされました。

・・・・・・・・・・・・え?なにこれ俺が悪いの?

と思ったら頭を掴まれて視線をDIOに向けさせられて首がゲル化したよおいおいおい。絶対普通の人だったら首の骨折れてしんでた!おい吸血鬼おい!!!!!

そんな俺様吸血鬼DIO様は先程まで俺が向いていた方を凝視して、びしりと指をつきたてた。



「そしてジョジョォ・・・貴様そこに”居る”な!」
「え?」
「はあ・・・・・うん。いる、いるよ。まあ声は聞こえないとは思うけどね」
「いやいや、待ってジョナサン!どういう状況かよく分かってないから取り敢えず説明ぐえっ」
「貴様は俺の方だけを向いていればいいと言っているだろうがッ!!」


いや言ってないし!首が!折れる!!!いや折れないけどさ!!!!
兎にも角にも理不尽極まりない事は確かで、どういう状況なのかやっぱり把握できてない俺は今日一番の大きい溜息を吐いたのだった。



フラグニスト



咲様リクエストありがとうございました!

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