■ 正月の混部大会2014

正月料理の準備がひとしきり終わり、空いている席に座った俺は5、6部の彼らに労われた。
ああ、まじ癒しと思いつつ、ハルノに手渡されたお茶をもらった俺はようやくほっと一息つく。おいしい。やっぱり正月はこうでなくちゃとジョリーンが勧めてくれたごま蜜団子を頬張れば、ブチュウウウウと口から何か出た。ちょ、ジョリーンおま。ははっ。



「あっはははは何だこれ美味しいな!!」
「でしょ?定助と康穂が持ってきてくれたんだけど、すっげー美味しいの。もう一個食べる?」
「フム・・・どうやらそれは奥歯で噛んで食べるものらしいですね。ぼくも一つ頂きます」
「ちょっとお、ジョルノ・・・それを言っちゃあ面白くないじゃない」



なんて言って笑ってる彼女が先ほどまであの空条承太郎とバトっていたなんてとてもじゃないが見えないし俺もミテナイヨ。
DIOにゴールド・エクスペリエンス・レクイエムを笑顔で食らわせたハルノもミテナイミテナイ。・・・お前ら、ちょっとは父親労えよ。



「だーかーらー、あれは空条式の新年のあいさつよ。というか、ねえ影崎。ずっと気になってたんだけどあのアルバイト店員って私たちの事見えるのね。スタンド使い?」
「まさか。ただの霊感が強い近所のお坊さんの息子だよ。ちょっと口悪いけどいい子だから大丈夫」
「彼、釘バット持ってますけどね」



そう言ってハルノが優雅に煎茶を飲みながら少し笑っている。
向こうの方でDIOがWRYYYYYYYYYと謎の咆哮を上げていたが総無視。
G・E・R食らわせといても結局は今ここにいる事を許してるんだから、何だかんだ言ってハルノも父親に甘いなと思いつつ俺は壁に掛けられた釘バットを見た。



「なんでも除霊アイテムらしい。事実、彼に貸してもらった俺の釘バットを嬉々として振り回したジョニィがディエゴを除霊しかけたの見たろ?」
「結果的には失敗してたけど・・・アレって止めなくていい訳?ジョースター家って超ぶっ飛んでるわホント」
「だってよジョナサン」
「否定できないところが辛いかな・・・」



お邪魔してもいいかい?と断りを入れたジョナサンが、ハルノ達の肯定をもらってからジョリーンの隣に座る。
向こうの方でツェペリさんとシーザーと花京院とナランチャ君が遠距離大会をやってたけど、お前らマジ波紋とスタンドの無駄遣いだな!攻撃相殺ゲームとかおっかねえ。
ジョセフと仗助がその勝負に賭けを持ち込んだのは流石親子と思ったけど。



「あっらー影崎ちゃん達。おたくら何でそんなとこにいる訳?こっち来いよ!一緒に賭けしようぜ!」
「そうっすよ!みんなでやった方が燃えるっつーか、楽しいじゃないっすかッ!!」
「おいコラじじい。人の娘に変なモンを勧めてんじゃあねえぜ。仗助、てめーもだ」
「うっせえどっから湧いてきたこのクソ親父ぃぃぃぃぃぃぃッ!!!!」
「・・・・っぐ。さすがおれの娘だぜ・・・なかなかいいパンチだ」
「相変わらずすごいポジティブシンキングですね」
「ジョリーン専用だけどな」



涙なしには語れない承太郎お父さん奮闘記を出版したら絶対大ベストセラーだなと箸で栗きんとんをとっていたら、ギューンとどこからともなく現れたジッパー。
そして出てきた馬。



「ヴァルキリーーーーーーッ!!」
「あれ、ジャイロじゃん」
「おい・・・なんか釣れたぞ」
「次々に増えるな・・・。そろそろ料理のストックが底をつきそう・・・」
「そこのところは大丈夫ってさっき由花子さんが言ってましたよ!多分トニオさんがくるんじゃあないかなあ」
「おおマジか康一君!!!」



あの噂の!!超美味しい料理を作るトニオさん!!
ということはこの部屋には50人近く来ることになるのか・・・。
わちゃわゃと人が増えるにつれてこの部屋もどんどん大きくなっていくことはもうツッコまないツッコまない。スタンドに突っ込んだらアウトだと思ってる。
だから、あー早くトニオさん来ないかなー!とわふわふしていたら、ジョリーンが俺の肩をちょっとつついて承太郎そっくりに笑った。



「でも私、影崎の料理も嫌いじゃあないわ」
「ありがとうジョリーン」
「僕も影崎の料理美味しくて好きだよ」
「ぼくだって好きですよ。何たってお袋の味ですし」
「お前ら俺を喜ばせてどうしたいんだよ!!大好きだこんちくしょう!!」



ぐりぐりと皆まとめてハグしていたら、こちらに気づいたらしいジョセフが片手にジョニィ、もう片手に定助、そして背中に波紋で接着させたらしい仗助。ハミパで承太郎を引きず・・・連れてこちらに来る。
そして上から思いっきりハグされた。お・・・重い・・・。



「あらあら俺らもまーぜてっと!!」
「・・・てめージジイ」
「お前は次に『人の迷惑も考えやがれ!』というッ!」
「人の迷惑も考えやがれ!・・・・・ちっ」
「おー、これが噂のジョセフお得意のヤツか・・・すげー」
「何だかんだ言って承太郎さんも嬉しそうッスけどね」
「そのかわり徐倫が震えてますけどね」
「飲みたくて〜飲み〜たくて〜震え〜る」
「アル中か」



ジョニィが定助にバンドのお誘いをしてるのはほっといて、いい加減どかないと俺らが潰れそう。そしてバイトの松くんの目線が生暖かい。「あー、店長また憑かれてるな」くらいにしか思ってないんだろうけどこいつら実体あるんだよ!!重いんだよ!!特に195cm組がな!!

ともかく、ここまでどんちゃん騒ぎしといてまだ言うべきことを言ってなかったなと思いだし、下の方にいるジョナサンとハルノとジョリーンの目線がこちらに向いたのを確認してから、俺は気持ち上を向いてニッと笑った。



あけましておめでとう!!



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