■ ■幕間の話

おいで、おいでと黒い手が呼んでいる。
前でもなく、後ろでもなく、横から手が伸びて、誰かを呼んでいた。


おいで、あなたはそちらのひとではない。
あなたはこちらにこなくては。
だからおいで。おいで。


小道の壁からうにょうにょと、黒い手が伸びている。

前でも後ろでもない。
横から伸びた手が誰かを掴んで、そしてそのまま連れて行ってしまった。



「―――影崎ッ!?」



けれど、黒い手が掴んだのは別の人。
本当はあの人を連れていくつもりだったのに。



ああ間違えちゃった!



ケラケラと黒い手は笑った。



□■□

幕間の話

[ prev / top / next ]