- ナノ -


2023/05/16

: more



鴇 「…鉢屋、聞いても?」

鉢 「何です?」

鴇 「……何してんの?」

鉢 「見ての通り、刀を研いでいます」

鴇 「…その、傍らの小汚いのは?」

鉢 「……………」

鴇 「こら、鉢屋」

鉢 「管理人と名乗るものですね」

鴇 「へー… 帰っていい?」


聞くんじゃなかった、と鴇が呟いたのを耳にしながら、管理人は不貞腐れた表情で鴇を見つめた

特に泣いたり暴れたりするわけではないが、管理人も言いたいことがあるらしい

猿轡された状態のソレにため息をついて、鴇は三郎に彼の拘束を解くように指示した


鉢 「ダメですよ 委員長はコイツが何をしたかご存じないんですか」

鴇 「…少なくとも、ここまでの仕打ちをしないといけないほどのことがあったっけかなと思ってる」

鉢 「何ですって?」


どうにも目が据わっている三郎が、鴇の言葉に眉をしかめた

とりあえず、猿轡くらいはとってやりなよ、という鴇に、三郎が珍しく首を横に振った


鉢 「今回という今回は、見過ごすことができません」

鴇 「だから、何の話?」

鉢 「サイト消滅一歩手前まで行ったんですよ!?」


ダン、と床を三郎が拳で叩けば、管理人もビクッと肩を鳴らしたが、またもや不貞腐れた表情で視線をそらした

それがさらに三郎の気分を損ねたのであろう、口元を引き攣らせながら、管理人の胸倉をつかみあげた


鉢 「私と委員長の神聖なる記録が、跡形もなくなるところだった」

鴇 「言い方 あと、無抵抗な人間の胸倉をつかまない」

鉢 「知らないんですか 消えかけたことを管理人より先にサイト訪問者の方の方が気づいて、データ退避を誘導してくださったから、なんとか一命を取り留めたんです」

鴇 「事情は聴いてるさ でも、退避は何とか間に合った こうやって再開できている、それでいいじゃないか」

鉢 「委員長の海より広い寛容さは私が受け取っておきますよ しかし、これはダメです」


ガックンガックン、と首を前後に振られる管理人は何の感情もいれないようにしているのだろう

三郎が締め上げるのに対し、早く終われという空気が駄々洩れである


鉢 「一筆、誓約書なり血判書なり書かせようと思ってます データの退避の習慣をつける 定期的な整備にくる、と」

鴇 「お前もわかってないね それができるタイプの人間は、こんな放置サイトを作らんよ」

鉢 「…コイツ、さすが我が子と言わんばかりに笑いましたよ」

鴇 「やめなって イジメ、よくない」


やんわりと間に入り、とりあえず管理人と三郎の物理的な距離をとらせる

ゴロゴロと転がって管理人が消えていったのを見届けて、鴇は不貞腐れた三郎を前に座らせた


鴇 「結果論といえば結果論だが、こうやって無事に継続できたんだ それで十分だろう」

鉢 「………しかし、」

鴇 「アレを構う前に、本当にやりたいことがあるんじゃないかと思ってるんだが?」


腸が煮えくり返っているのか、あからさまに不機嫌な態度をとる三郎に小さく鴇がため息をつく

すっ、と腕を三郎の方に伸ばせば、三郎が一瞬身を固くした

それを無視し、鴇がさらに腕を伸ばし、三郎の前髪をくしゃりと撫でる


鉢 「何です、こどもじゃあるまいし…」

鴇 「うん、そうだな」


口では抵抗するが、撫でられること自体は嫌ではないのか、三郎はされるがままであった

繰り返し撫でていくうちに、眉間の皺が少しだけ緩和された気がした


鴇 「…お前は、いい子だね」

鉢 「そんなんじゃないです」

鴇 「いや、本来は私がすべき話だよ」

鉢 「…委員長がしないといけない話じゃないんですよ」

鴇 「謝罪ととるか、御礼ととるかだろ」


そっと離した手に三郎が慌てて顔をあげた

姿勢を正し、座りなおした鴇の横に倣い、三郎もまっすぐに姿勢を伸ばす


鴇 「この度は、サイトの破損および移転に伴い、多大なるご心配をおかけいたしました。また、再出発とも言える新サイトへのご訪問、真にありがとうございます」

鉢 「新サイト開設いたしましたところ、連日のようにお祝いメッセージと何故か管理人へのお礼までいただいており、ありがたい限りでございます」

鴇 (こら、何故かとか言わない)

鉢 (非難やお叱りはあれど、お礼まで言っていただけるほどのことはしてないですよ)

鴇 (それはそうなんだが)

鉢 「一部のデータは後に復元となりますが、これからも委員長と私の青春ドキドキメモリーが記録されていきますのでお楽しみに!」

鴇 「……………」

鉢 「管理人の方には出し惜しみせず、委員長と私のあんな話やこんな話、イチャパラから濃厚ラブストーリーまでこれまでにない系統の話も」

鴇 「こら、気が緩んだ途端に嘘八百並べるな」


キャー、と妄想に照れる三郎をポカリと小突いて、鴇は再度咳払いをした


鴇 「とにもかくにも、鉢屋が述べましたとおり、ここ連日、お祝いと嬉しいコメントをいただいており、厚く御礼申し上げます
   此処にはおりませんが、管理人も改めて創作活動に準じようと思えるほどにメッセージをいただいております
   管理人がグタグタ述べるより、こうして我々からお礼をさせていただける方が、まだ幾分か楽しんでいただけると思い、筆をとらせた次第でございます。
   中身のあまりない小話でございますが、お楽しみいただけたのであれば、幸いでございます
   引き続き、お足を運んでいただけますと、管理人も喜びますので、よろしくお願いいたします。 それでは短い時間でしたが、これにて失礼いたします」




=====================================

…と、いうことでお礼小話でした。
一件一件記載できておらず恐縮なのですが、たくさんメッセージいただいてます。
ありがとうございます!


テーマソングは家入レオ様の「未完成」でした。
聞いてて三郎っぽいなと感情が爆発しました(笑)