相変わらず静まったままの室内。 私は成功したことでご機嫌だ。 「大丈夫?」 私の上に倒れ込んだままの女性の頭を撫でながら聞く。 ピクッと反応し、顔を上げる。 その顔は、画家によって描(えが)かれたままの美しい顔。 ただ、絵の中では微笑んでいた顔は状況が飲み込めず混乱していた。 「とりあえず起き上がれる?」 女性は自分が倒れ込んでいることに気づき、慌てて起き上がる。しかし、立たずに、絨毯に座った。 まさに起き上がっただけ。 まあ、絨毯だしいいか。 と私も起き上がり絨毯に座り込む。 女性を怖がらせないよう、彼女の膝の上で固く握られた手を優しく握る。 そして女性が出てきてから未だに一言も発しないお貴族様たちに振り返ってしてやったり顔で言った。 「彼女が犯人です。」 [*前] | [次#] ページ: topへ |