「は?絵が何なのよ!!」 不機嫌さ絶好調な妻は私を責め立てるように言う。 「だから、この人です。」 私は淡々と答える。 私の指の先には最初見たときから微動だにしない絵の女性。 「意味がわからないわ!!あなたに依頼したのが間違いだったわ!!違う人に依頼し直しよ!!時間のむ」 「曰くの理由が知りたくないんですか」 冷静でない妻の言葉を遮って私はやや強い口調で言う。 私の今までの口調と違うことに驚いてか静かになった。 「……絵は…作者の思いの強さだけ意思を持ちます。」 「え?」 「この絵の女性は意思を持っているんです。」 「はあ?」 私はポケットの小瓶を出して蓋を開け、中の水を右手にかける。ボトボトと右手をつたう水は絨毯に落ちる。 それを見ながら私は言う。 「信じられないのも無理はない。だけど本人に聞けば一発だっ」 勢いをつけて絵に右手を伸ばす。 周りは絵が傷つくと思い、悲鳴や驚きの声を上げる。 私の手はキャンパスに当たることなく絵の中に入った。 絵の中の女性の腕を掴む。 そして思い切り引いた。 絵から引っ張り出された女性はその勢いで私諸とも絨毯に倒れ込んだ。 静まる部屋。 成功して、してやったり顔の私。 私の上に倒れ込んでいる女性。 [*前] | [次#] ページ: topへ |