なんだ。 簡単なことだった。 作者の執着とか金がらみとかよりも単純だ。 犯人は迷宮で得られぬ答えを探してる、一番悲しい人だった。 「まだわかりませんの?」 相当苛立った様子で妻が言う。 周りからも私をインチキだとか言う声が聞こえてくる。 「わかりました。」 自信ありげに言い放った私の言葉で部屋の中は静まった。 「…何が原因なのよ。」 今までまだか、まだかと急かしていたというのに、わかったと言った瞬間に怯むとは。 無能な富豪はそんなもの。 「原因はわかりませんが、犯人はわかりました。」 「はあ?」 怯んでいたというのにまた不機嫌。 「犯人に聞けばすぐにわかりますよ。」 「誰よ。犯人って!!」 苛立ってか、“犯人”という単語に恐れをなしてか、声を荒げる。 「先程から皆さんも私もずっと見てたじゃないですか。」 「え?」 「犯人はこの人ですよ。」 私は目の前の絵を指差した。 [*前] | [次#] ページ: topへ |