通されたのは天井が無駄に高くて、無駄に広くて、無駄に高級品で装飾された客間のような部屋だった。 無駄に埋め尽くされたこの部屋に私は嫌悪感を抱きながらも、依頼料を思ってお世辞を吐く。 「とても素敵なお部屋ですね。」 その言葉に気を良くしたのか部屋の説明を始める貴婦人。 お世辞を言ったことをこれ程後悔したのは初めてかもしれない。 散々自慢話を聞き、やっと落ち着いた空気になり、自己紹介が始まる。 ……自己紹介がこれまた自慢を含みすぎてて聞いてて苛々するから私的人物紹介。 先程の貴婦人は亡くなった画家の妻らしい。画家より30歳年下だそうだ。(今は44歳) 年の差が激しいところから、家が決めた結婚だったのだろう。 タカビーな感じが何とも腹立たしい。 そして画家の娘。母親と似すぎていて気分が悪い。タカビーはしっかりと娘にも受け継がれているようだ。 ちなみに新婚らしい。 聞いたとき、「だから?」って言いそうになった。 次に画家の息子。いかにもボンボンで見てて吐き気がする。 つい、「ボクぅ〜知ってる〜?ボクより着てる物の方が価値があるのよぉ〜」と言いそうになった。 あとは……妻の両親にその他親族がちらほら。 画家の親族もちらほら来てるらしい。 あっ、それから、曰く付きの絵を現在所有する人にも絵を私に見せるために持ってきてもらったらしい。4人ほど。 全員一人一人紹介してたら進まないから主要人物を紹介しておけば十分。 これでやっと本題へ入れるのか。 早く依頼料を受け取って帰りたいのに。 [*前] | [次#] ページ: topへ |