曰く付きの絵


ある画家が20年程前に病没した。

その画家が亡くなってから、遺族により世間に出され、売買された絵が数枚ある。

それらの絵は女性が描かれていて、全て同一人物。
モデルがいるかいないかは、わからない。
美しく、儚げで優しそう。だけど家庭的な印象も持ち合わせる女性だった。

それは富豪らを虜にし、遺族主催のオークションでは全て破格の高値で売れた。


それからというものの、何故か女性の絵を手に入れた富豪たちに不幸が訪れる。
ある者は経営している企業の株価が壊滅的に暴落。
ある者は病気一つしたことなかったのに癌が見つかった。
ある者はそれまで全ての浮気を黙認していた妻に突然離婚を突きつけられた。

皆、女性の絵を手に入れてから人生が変わるほどのことが起きている。

そして彼らは女性の絵を気味悪がり、転売した。

転売先でも不幸は起こった。

絵画愛好家の中ではかなり有名な噂になった。

しかし、女性の絵にある魅力ゆえに需要は全く減らなかった。

そうして次々と女性の絵は至る所で転売されている。




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