曰くの理由4

数日間、誰も部屋に入ってこなかった。

私はあの人を待っていた。

だけど、帰ってこなかった。


数日経って、誰かが部屋に入ってきた。

待ちわびたあの人じゃなくて妻や妻の父親が。

私の絵を見つけてはすぐに運び出しオークションにかけた。

数枚の私は散っていった。


どうしてもあの人に会いたくて、買われた先で何かあの人についての情報を得ようとした。
だけど欲しい情報は塵ほども得られず。
欲しい情報を求めて、他の人に買われるために持ち主を不幸にした。
思惑通り転売された。
それでも欲しい情報は何も得られない。
だからまたそのときの持ち主を不幸にした。

その繰り返しだった。


そして今も。


あの人を求めて。


―――



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