数日間、誰も部屋に入ってこなかった。 私はあの人を待っていた。 だけど、帰ってこなかった。 数日経って、誰かが部屋に入ってきた。 待ちわびたあの人じゃなくて妻や妻の父親が。 私の絵を見つけてはすぐに運び出しオークションにかけた。 数枚の私は散っていった。 どうしてもあの人に会いたくて、買われた先で何かあの人についての情報を得ようとした。 だけど欲しい情報は塵ほども得られず。 欲しい情報を求めて、他の人に買われるために持ち主を不幸にした。 思惑通り転売された。 それでも欲しい情報は何も得られない。 だからまたそのときの持ち主を不幸にした。 その繰り返しだった。 そして今も。 あの人を求めて。 ――― [*前] | [次#] ページ: topへ |