曰くの理由2


あの人は私を部屋に飾り、いつでも私に語り掛けてくれた。

そして、私はいつでもあの人を見ていたし、あの人の絵も見ていた。
あの人には聞こえなくても、いつもあの人の絵を「綺麗ね。」と言っていた。
外で付けられた価値なんて知らない。
あの人の絵は全て価値を付けられるものじゃない。
私にとって価値以上のものが溢れてる。
私はあの人に恋をした。

あの人はよく私の絵をスケッチブックに描いてくれた。
その中から気に入った構図をキャンパスに描いてくれた。

あの人にとっての心の寄りどころは私だけだった。


仮面の笑顔を貼り付けた人が家に来る時間を怖がっていた。

さらに追い討ちをかけるかのごとく、貿易の財閥からあの人の家族に話が来た。

内容は


“是非私の娘の婿に”


財閥はその暁として、家族や親戚に贈り物という多額な金を渡すと言った。

親族は金を受け取れることはもちろん、財閥と親族になれることを喜んだ。

あの人は自分の意思に関係なく結婚させられた。





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