あの人は私を部屋に飾り、いつでも私に語り掛けてくれた。 そして、私はいつでもあの人を見ていたし、あの人の絵も見ていた。 あの人には聞こえなくても、いつもあの人の絵を「綺麗ね。」と言っていた。 外で付けられた価値なんて知らない。 あの人の絵は全て価値を付けられるものじゃない。 私にとって価値以上のものが溢れてる。 私はあの人に恋をした。 あの人はよく私の絵をスケッチブックに描いてくれた。 その中から気に入った構図をキャンパスに描いてくれた。 あの人にとっての心の寄りどころは私だけだった。 仮面の笑顔を貼り付けた人が家に来る時間を怖がっていた。 さらに追い討ちをかけるかのごとく、貿易の財閥からあの人の家族に話が来た。 内容は “是非私の娘の婿に” 財閥はその暁として、家族や親戚に贈り物という多額な金を渡すと言った。 親族は金を受け取れることはもちろん、財閥と親族になれることを喜んだ。 あの人は自分の意思に関係なく結婚させられた。 [*前] | [次#] ページ: topへ |