ピエロの成り方



再び

 家へ向かう中、どうにかするとは、どうすればいいのか。言うなと言ったところで意味がないことは知っている。脅しや約束など無意味だ。

 ならば、言う口を封じれば良いのか?

 良案が浮かばないまま、街を進んでいると、小さな畑が目に入った。畑を囲うようにして、細い鉄の棒のようなものがいくつが土に刺してある。棒と棒を紐で繋ぐように畑の囲いが作られていた。
 今なら周りには幸い人はいない。棒を一本抜いてみる。紐はするっとほどけた。錆びた鉄の棒。長さは60cm程だろうか。

 何も持たずに行くのも心細いので、何に使えるか分からないけど持って行ってみる。必要なければ捨てれば良い。


 家の前まで来たが、家の中は静かそうだ。外に人が鳥になったことを言いに行っているのか?とりあえず門を入り、玄関のドアに手をかける。引くと、きいっと小さな音をたてて開いた。
 鍵が開いているということは、家にまだ居るということか。

 静かに入ってみる。あの騒動から1時間も経っていないのに、もう懐かしさというか、ここは自分の居場所ではない感じがする。

 声が聞こえた。話し声が。方向的にリビングか。静かに向かう。入り口まで来たところで、隠れて聞き耳を立てる。どうやらバルトロと次期社長の二人のようだ。大変な窃盗があったのに何故警察に行っていないのか不明だ。
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