ピエロの成り方
移動
こんな所にいつまでもいて、誰かに見つかったら余計面倒なことになる。さっさとこの家を出たい。しかし、すべきことがある。
まずは着替え。次期社長の血がついた服で外を歩けるはずもない。着やすい服に着替え、これからのことも考え、服とか、最低限の生活必需品をリュックに詰め込んだ。家を出るときに誰かに顔を見られない様にするために帽子を被り、家を出た。
そろそろお昼という時間だからか、人通りはまばらで助かった。
さて、この町から出なくては。荷物をまとめたいところだが、街から出るのが先だ。
金目の物を詰め込んだバッグを取ってから、市街地まで行き、タクシーに乗り込み、2つ程市街地をまたいだ街を運転手に告げる。金目の物を金に替えたかった。これから行く街はそういう物の買い取りが多くされている。
数時間かけて、目的地に着いた。早速店に入る。持ち込んだ物を算定してもらうが、
「そんな金額なはずないです」
金持ちのバルトロを一目で見抜いたんだ。金を見る目には自信がある。
「じゃあ…1割増しにしますよ」
「7割増しの間違いではなくて?これの価値はわかりますよね?中古の買い取りだとしても、7割増しが妥当な金額だと思いますけど?デザイン的にも結構人気だろうし、高値で売ってもすぐ売れますよ。」
「うっ…店長呼びます。お待ちください。」
「あ…りがとうございましたー」
交渉の結果、こちらの言い値でまとまった。相当嫌な客だっただろうが、今は金が必要だから仕方ない。安物を高く買えと言ったわけでもないから正当だ、と思っておく。
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