ピエロの成り方



疲労

 静かになった部屋。ベッドの上に立つ。大きくため息をつきながらベッドに倒れ込んだ。疲れた。
 あの男、絶対変な気を起こしていたに違いない。こっちは金のためにここにいるのに冗談じゃない。咄嗟に作った作り話も脳味噌フル回転させ続けて疲れた。よくまああんなくそ長い作り話を言えたものだ。自分に感心する。
 しかし、あれだけ長々と話を聞かされれば変な気もおさまるだろう。そしてあの男が作ろうとしていた変な雰囲気も壊してやった。


 この夜の脳味噌フル回転させた頑張りの成果として、翌日から男は自分を女としてではなく、娘のような見方をし出した。
 女として見る気が失せた、というべきだろうか。どちらにせよ、自分にとっておいしい方向へ向いた。
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