「どうして?」


ルーナは訊いてみた。
昨晩じぶんにできる最善の手を打った筈だったが、どうやらこの二人は一筋縄には行かないらしい。
リーマス先生はきっとシリウスのことを忘れられないし、シリウスはリーマス先生以外には靡かない。二人が和解したって、誰も傷つかないというのに。このまま大好きな二人がずっと仲違いするのは真っ平御免である。

ルーナはつい先ほどまで微笑を携えていたリーマスに、もう一度尋ねた。


「どうして仲直りしないの?」
「仲直り?何のことかな」
「嘘はだめだよ。わたし馬鹿じゃないもん」


大人は面倒だ。何かと理屈づけては、じぶんの本心に簡単に逆らって嘘を吐く。その嘘に痛むこころさえ亡くして、他人の嘘に気付くのをやめてしまう。
素直に言えばいいのに。思ったことを包み隠さず伝えないから、語弊は生まれるのだ。


「好きなのに、どうして引くの?」
「…ルーナ」
「先生はシリウスのこと、好きなんでしょう?…わからない」
「…」


そんな顔をして欲しいわけじゃない。ルーナのこころは痛んで泣いている。けれど、誰が辛いのかも解っている。
ただ、幸せになって欲しいだけ。


「…先生」


耐えられないと思った。だから。

「ル、ルーナ?」
「話さなきゃ、だめだよ」


ルーナがリーマスの手を引いてキッチンを出るのと、シリウスがダンブルドアと話を終え居間を出るのはほぼ同時だった。


(無意識であろう彼の睨み付けるような目線に、心中で笑みが零れたことは言うまでもない!)





091020
title:けしからん
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