言えない、気持ち。

「帰るかな・・・」

夕焼けに染まりかけの空を見れば、一言つぶやいた。
昨日のクエストは一人で行くことにしたのだが、遠い場所なだけあって随分疲れた。
採取してきた物に依頼主は大喜びではあったが、それを探すのに一日半は掛かったのだ。
先程マグノリアに着いた俺は妖精の尻尾に顔を出せば、カウンターバーに腰掛ける。
帰宅すると勝負しろだの喧嘩腰に絡んでくるやつが、一人の人物が不在なことに気づく。

「・・・ナツは?」
「あら、今日は朝からクエストに行っちゃったわよ?帰りにルーシィの家に寄るとは言ってたけど。ふふっ・・・」
「なんだよ、ミラちゃん。」
「ううん。気にしないで。ほら、そろそろ帰ってくるはずだし、ルーシィの家まで行ってみたら?」
「・・・・・うーん、まぁ、気が向いたら帰り道寄ってみる。今日は疲れてるから帰って寝るわ。」

妖精の尻尾の受付お嬢ことミラジェーンとの会話を交わせば、立ち上がり、一つ欠伸を零せば、出口へと向かう。
まぁ、別に会わなくったって、良いんだが。なんだかあの顔を見ないと落ち着かない。
無邪気に笑いかけてくるアイツを見ると安心すると言うか。俺の中でアイツが大きい存在になりつつあるのも自覚しているのだけども、会うと喧嘩ばっかりだし、何かしら素直にはなれない。俺は気持ちを言えないままである。


---------ナツは俺が愛してるって言ったら、どう答えんのかな?

この今の関係も居心地の良い物なのだが、俺がその言葉を発してしまった事により、バカやって、笑ってられるのが崩れてしまうのが、俺にとっては一番、辛いことなのである。あまり考えたくない。
大通りに出ると見事にオレンジ色だ。俺は川沿いのベンチに腰掛けた。背中にはルーシィが住んでいる部屋がある。
あと、ちょっと待って来ないようなら帰るか・・・くそぉ、眠い。クエストを終えたあとの列車でゆっくり寝ようと思っていたのだが、列車が事故でなかなか現れず、列車が到着したと思えば、逃走した列車事故の犯人と遭遇し、俺は列車でゆっくりも出来ず、巻き込まれ事件を解決して、ここまで戻ってきたのだ。もう当分遠征は懲り懲りである。意識が薄れ始め、目を閉じかけた、タイミングで聞き慣れた声が俺を呼んだ。
はっ!と意識を戻せば、そっちへと顔を向けると、隣にはナツが既にベンチに腰掛けていた。

「グレイー!帰って来てたのかー!」
「うお、うるせーのが帰って来た・・・。」
「うるせーってなんだよ。ほら土産やんよ。」
「さんきゅ。」

ナツが俺の前に「ほらよ。」と笑顔で、果物を差し出せば、こっちも素直に受け取った。なんだか無邪気に笑いかけて話ししてくるもんだから、こちらも自然と笑みがこぼれた。なんだか、待ち人に会えて、安心したのか眠気が限界にきている。こちらを見つめるナツが「眠いのか?寝てないのか?」と、話しかけて来ているが、把握できないくらいに頭が回っていない。

「うるせーよ。・・・ココに来るんだろうなって思ったから、お前のこと待ってたんd・・・」

セリフ途中だった。でも、強がっても限界は限界だった。
あったけえ体温に触れたそんな気がした。ナツの匂いもすごく近くで感じた気がする。
わりぃ、ちょっと寝かせてくれ・・・。俺の記憶はココで途切れた。





何時間経った?
すっかり陽は落ちていて、辺りは真っ暗だった。街灯が俺たちを明るく照らしている。
あぁ、すっかり寝てしまった。横を見るとナツも俺に寄りかかって寝ていた。
俺の手にはブランケットとが握られていて、誰かが掛けてくれた・・・のか?
にしてもコイツもこんな所で寝るなんてどうかしている、こうなる前に起こしてくれれば良かったのに。
大人しく寝ているナツを見れば、今だけはと、相手の手をぎゅっと握りしめた。
暖かく、優しくて、喧嘩するときに触れる手の感触とはまた違う。
愛おしくて、もっと触れていたくて、ドキドキする鼓動が大きくなっているのは自分がよく分かっている。寝てる時くらい・・・・聞いてくれよ、ナツ。
思いが強くなれば、口が動き言葉が出た。



------俺の横で笑ってて元気でいてくれば、それでいいはずなのに。俺は・・・。



「ずっと、大好きだ。愛してんぜ。」






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はい。終わりましょう。
グレイ視点で書こうなんて無謀だったんです。
あわあああああ、グレナツ欲しいよおおおお。
ブランケット?通りすがりのあなたでしょ?お掛けになったのは←
ところで、両片思いのまま終わっちゃったけど次は。。。。頑張ります←

ありがとうございました。


27.05.01


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