茶色のツンツンウニ頭と黒のかたそうな髪の毛のバカと一緒に、金髪の頭の上には大きなリボンをつけた少女を見つけて、ゴールドは一回立ち止り、呼吸を整えた。何食わぬ顔をして近づいていけば、その黒髪のバカ――サトシがゴールドに気付き、あ、と指をさす。

「ゴールド、おはよう!」
「朝っぱらから元気だなお前……」
「まあ、サトシだしね」

 バシバシと肩を叩くサトシを軽く睨みながらため息をつくと、茶色のツンツンウニ頭――シゲルが笑った。これがいつもの光景だ。馴れ馴れしい奴だとゴールドがサトシに対して鼻を鳴らすが、そんなことも気にせずにサトシは楽しそうにけらけらと笑っている。サトシが笑えばシゲルも笑うし、その長い金髪を揺らしながら少女――サトコも相変わらずスカートのくせによく跳ねる。ゴールドがそんなサトコのほうに視線をやり、たいして表情を作るわけでもなく当たり前のように言う。

「おはよう」
「うん、おはよう、ゴールド。ちゃんと起きれたか?」
「あの馬鹿兄貴に起こされた」

 ああ、いつも通りだな、とサトコが笑う。それじゃあ行こうか、とシゲルはサトシの手をとり、先に歩き出す。学校まではすぐそこだが、仲良いなあ、と笑うサトコとは反対にゴールドはよくやるな、と小さくつぶやく。

「ほら」
「あ?」
「オレたちも!」

 サトコがさも当然のようにゴールドに向かって手を差し出して待っている。まさかそれは、手を取れということなのだろうか。ゴールドは一瞬固まり、眉を顰めた。

「遅刻するだろ!」
「ちょ、サトコ!」
「あははっ」

 ポケットに突っこんでいた筈の左手を強引に奪われたゴールドはサトコに引っ張られるようにして走り出す。何ごとかと後ろを振り向いたサトシとシゲルには仲良いな、と言われてしまい、ゴールドは少し悔しい気分になった。
 ――まあいいか、俺のせいじゃねえし。
 そう正当化することに成功したゴールドはサトコの強引さのせいにして、その、細い指を握り返した。



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学パロのゴールドがツンデレなのは仕様です。


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