旧夢 | ナノ

▼承太郎:ポル連載後

あの旅から数年。
承太郎から連絡があって、ポルナレフはイタリアに向かった。
その時は私もフランスに居たから、ついて行こうともしたんだけれど、
上手い事置いて行かれてしまったので気晴らしにアメリカへ行った。
しかし時期を見誤ったと思う。
涼しいフランスにちょっと居た私はアメリカの夏の暑さに眩暈がした。

と、言う訳で承太郎のホテルだ。
承太郎に時折ウザがられながらものんびりとテレビを見ているのだ。
真夏のアメリカはとっても暑くて外に出る気も失せる。
かといってあんまりお金はないので店には入らない。
じゃあ承太郎のホテルしかないじゃないか。
ジョースターさんの家もいいな、って思ったのだけれど、映画漬けになるからやめた。

かと言って特にすることもなく、結局たまたま放送していた映画を見ていたけれど
『ジャパニーズマフィア特集』だとかでずっと任侠ものが放送されている。

暇なので承太郎を見た。
さっきからずっとデスクに張り付いて何か書いている。
何かって言うか、大学のレポートとかそんなだろうけど。
会うのは何年ぶりだろう、と振り返るとすぐに答えが浮かぶ。
あの旅以来だ。そして承太郎は学ランを卒業して今は大学生。
それでも彼を見ていると、あの旅のことを思い出す。


灼熱のスタンド「ザ・サン」
承太郎が笑い、ポルポルが笑い、皆が笑いながら片付けたスタンド使い。
私は笑う体力なんてなく、終わった後も暫くぐったりしていた。

肌の露出はポルナレフと大差ない私。それに対して高校生達は随分と暖かそうな服装。
見るだけでうんざりって感じだけど砂漠では長袖の方がいいんだとか。日射を直接浴びるのはいけないって。
確かに日に当たるところはヒリヒリしている。頭痛もする。。

「暑いなんてもんじゃなかった」
私の呟きを聞いた花京院が学校で下敷きをパタパタする様になんかソレ的なもので扇いでくれた。
やや熱風ではあるけれど、ないよりはマシだ。

「ありがとう花京院」
「いいえ」
スマートな反応の花京院からソレ的なものを借りて扇ぎ返してあげる。
プラスチックの薄くしなるソレ。
本当に下敷きだとは思わなかった。どっからもってきた。
「学生は学生らしく、ね」

ポルナレフが涼しーと言って花京院と私の間に入ってきた。
「ポルポルはお呼びじゃないわよ」
サクッと下敷きをポルの頭に差し込んでみたら以外にそのまま納まってしまった。
「何するんだよ」
ポルナレフは下敷きを取ると、ヘアスタイルを直している。結構硬い髪だったらしい。
花京院はへぇ、こうなってんのかって顔で見ていた。私からしたらアンタこそどーなってんのよって感じ。

可哀想なラクダ達をおいて、ここからは徒歩だ。
「ポルナレフって日焼けする?」
「真っ赤になっちまうけどあんまりしねーな」
「私は真っ黒になっちゃうタイプ。やっぱ白人だから?いいなぁ」
きっと旅が終わる頃には皮膚が剥けてるんだろう。
「脱皮手伝ってやるよ」
「じゃあアンタの皮むきも手伝ってあげる」
「おっお前それは意味が違うだろーが!」
ギョッとした顔で言うポルポルを笑い飛ばす。
花京院が日射のせいではなく頬を染めているのがちょっと面白い。
「どういう意味かしら?ところで、赤くなるタイプって本当に皮剥けないの?」
「どっちの話だ」
「どっちって普通の話よ」
「さーなぁ、剥けるほど焼けたことねーからな」


そういえばあの時、花京院は剥けたことないって言ってたな。
承太郎はハーフだからわからないなぁ。白人ってそもそも剥けるのかな?
そういえば、日焼けしてるかな?

私に背を向けてデスクで何かしている承太郎を見た。
唯一見えている肌は確かに日焼けしている。
海に調査しに行くって言ってたもんなぁ。

「承太郎って剥けてる?」
突然承太郎が机の上の本たちを落とした。
ブラウン管では、清純そうな女子高生があられもない声を上げていた。


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