屋上は私の大好きな所だ。 給水塔の上がこの学校で一番高い。 そこに登るのは一苦労だけど私はその一番高い所で風に当たって街並みを眺めるのが大好きだった。 「パンツ丸見え」 ある日、そんな声が聞こえた。 どこからだろうと見渡せば給水塔裏側に長い脚が見えた、見られたことの羞恥心なんかより、私の他にもこの素敵なスポットを知ってる人がいる事に興味を抱いた、だから下に降りてその姿を確認しようと思った。 「ウソツキ」 その人はアイマスクをしてそこで昼寝をしていた、私のパンツなんか見えてないじゃない、よく考えればその男の顔も位置から私の立っていた場所も良く見えない。 「嘘じゃないよ、見えてるよ」 「ここからじゃ私の姿も見えないし、アナタはアイマスクをしているじゃない」 「白地にオレンジ色のレースのフリルと花柄」 なんで知ってるの。あぁそうかさっきまで見てたのね。 「えっち」 「男はえっちだよ」 「こんな所に隠れて」 「ここは俺の場所だよ、君がずっと気づかなかっただけだね」 「私より先にこの場所にいたの?ごめんなさいアナタの場所だとは思わなくて」 「ずっと前から気にしてないから、謝んなくていいよ」 ずっと前から居て、ずっと私の存在に気づいていたのになんで今更声なんかかけたのだろう。 「お名前は」 「瀬戸健太郎」 「瀬戸さんね、私は」 「白石さちこ」 「なんで知ってるの?」 「知ってるよ、男はえっちだからね」 それがどういう意味なのかどうして名前を知っていたのかとかそれは後に追求するとして、私は大変この瀬戸健太郎に興味を抱いたのだった。 |