ハイスペックと言われる彼は、いつもヘラヘラと笑っていた
私は最初からあの笑みが何故か気に入らなかったためクラスでは唯一といっていいほど高尾君とは喋らなかった
なのに、だ。たまたま日直の相手が高尾君だった
まぁラッキーなことに高尾君は覚えていなかったらしく私が黒板を消し終わり日誌を書き終わる寸前に部活の恰好でやって来た
「もう終わりそうなので部活に戻ってくれて大丈夫です」
「いーよいーよ、待ってるって」
彼は人のよさそうな笑みを浮かべながら私に話しかける
「ねぇ、みょうじさんってさ」
「…はい」
「俺のこと嫌いでしょ」
彼は私の嫌いなあの笑みを浮かべているのだろう、だが私は日誌を書いているため後ろは振り向けないし振り向かない
「だとしたら?」
「…ははっそんな風にあからさまな態度取られたの久しぶりだわ」
「そうですか、日誌は書き終えたのでもう戻って平気ですよ。これは私が出しておきますから」
少し早口で喋ったあと彼のほうを向いた、どうせあの笑みを浮かべてるのどろうと思いきや
「何でそんな顔をしてるんですか」
「そんな顔ってなに?」
寂しそうな顔です、なんて言えなくて
「…別に高尾君のこと嫌いなわけじゃないですから」
「え」
そういうと彼は嬉しそうに笑った
「そっか、うん。ありがとな、この日誌俺が持ってくからさ!」
「あ、ありがとう
「じゃあな!」
うわ、笑った顔可愛かったなんて思っていた私だったが
がらがらと閉まった扉の向こうで高尾君があの私の嫌いな笑みを浮かべていたのは彼しか知らない