タンザキ






あまりにも笑った顔は幼く、だのに折節引きつけられてしまうので、相変わらずもたれかかるのだった。


汗のかおるすえた部屋
薄暗く白熱灯の光あるだけで、埃っぽく乱雑した、


「電気、消さないんスか」


理解できなかった
ぼっかりと深く大きな穴があって、


「ああ、見たいから」


笑う顔があまりにも幼いので、

偶に見る顔に黙る、黙る、黙る。

シャツを脱ぐ仕草も笑い方も汗を拭う手付きも、ずっとずっと大人びて、大人びていた。


10歳の歳の差、

「やっぱ、」

のし掛かる身体から後退りするように右手を押し付けた

「電気消して下さい」

憎らしい程余裕があって、優しい顔をして、落ち着いているから、今にも暴走しそうな劇しい感情や欲求が膨張する増大する、増幅する


「じゃあ見ねえよ、」


彼は目を閉じて、唇を触れ合わせた
また、股関節に手が重なり勃起した性器を撫でた


電気は点灯したまま熱と光を放ち続けた

汚れた天井、埃の溜まった窓の桟、ぼんやり、思考は膿を孕んで乱れてゆく


「お前、いっぱいいっぱいな顔すんのな」

理解できなかった
深く大きな穴に突き落とされ突き放されたような

「…」

「辛いんなら声出せよ」

あまりにも笑った顔が幼いので、折節見せる10年の差に優しく突き放されてしまう。


その空いた隙間に背をもたれて仰ぎ見る顔は大人びて直視するには心が痛む気がした。

(顔見ないっつったくせに…)

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