サクセラ






真剣に吟味するとそれは些か問題があるということに気付く。

甚だ自分は鈍感で頭のいたく弱い人間だ。

「歳の差は9歳で、性格は負けず嫌いの意地っ張りの…」

頭を掻き毟ってから派手な溜め息をついた。

「だなんて…」

尊敬と好きの壁は薄い。



好きです




日に日に振幅を広げる独占欲。渇望、渇望。
始末に負えない。


「なあ赤崎」
「はい?」
「自分より背の高い子に恋したことある?」



「ありますけど」
「いっ!?」

こいつも恋愛なんて可愛いことすんだな。驚いた

「ま、ガキの頃は大抵女子のがデカいでしょ」
「…ああ、そう」


「でも格好いいとこ見せたいと思うのが男っスからね」

間。

「ありがと赤崎」




背中、スラリと長い足。
年齢の出始めた膝、関節、

左隣。左隣に誰もいない、
恐らく嫌悪と照れの混じった表情で寄るなと言う。でも振り払ったりはしないだろう、多分。


好きです、

そこに、居たい。




カッコつけてみてもいいですか

「堺さん」

まるでいつも物が溢れかえっている自分の部屋のようだ。

「んだよ」
「堺さん俺のこと嫌いですか?」
「は?」

いつかはやろうと思っている。嘘なんかじゃない。

「いっつも冷たいし」
「…」

生憎だらしなさには定評がある。そしてその先の目処も実は立っていない。

「何かそんな風にされるとたまに寂しくなっちゃう」

カッコつけてみたい。

「はあ?」


「俺、堺さんのこと好きだから」


カラカラカラカラ、
埃っぽい更衣室の匂い
空気空気空気空気


ドクン

「な、なに言ってんだお前」
「何ってそのまんまっスけど」
「んなアホな事言ってる暇があったら筋トレでもして来いよ」

「それと、…その、嫌いだったら絡まねえから」


好きと尊敬の壁は薄い。
更には一方通行で満たされない欲も邪ながらある。


好きです
好きです
好きです


「じゃ、じゃあハグしてもいいですかっ?」
「何でだよ」
「えいっ!」


好きです

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