ガミタン











前屈みになった彼に壁際に追い詰められた。

「こうされんの嫌?」

表情が逆光でよく分からない。だが、あまり平生と変わらなかったろうと思う。
そして興奮ともとれる動悸がしていた。

彼はベルトのバックルに手を掛けた。

「嫌かって聞いてんだよオイ」


俺は答える事が出来なかった。だがその内には確かに期待があったことを告白する。

彼は舌打ちすると上着を脱いでそれを俺の顔に投げて被せた。まだそれは暖かく、少し汗ばんでいた。

彼は、じゃあ好きな奴でも想像してろ、と言った。


顔を覆うこれを取ろうか取るまいか。随分と悩んだ。その前に無闇に動いても良いものか分からなかった。状況を飲み込めない。いや、わかる。理解したのは本能だった。俺は勃起していた。



―その生々しい音に聞き覚えが有った。粘着質な液体を塗った物質がこすれる音、湿ったヴァギナを弄る、音だった。荒い吐息の熱に紛れて、はっきりとその淫らな音を聞いた。


展開を知ったのは性器だった。いつか女を持ち上げてこんな風に挿入したことが有る、しかし、ヴァギナよりずっとキツい、吐息が近い。一枚布越しに熱気と息遣いが伝わった。徐々に激しくなる動きに連れて相手の高い鼻声が漏れ出した。


女みたいだな。


ぼんやりとそう思った。そしてそのとき不意に過ぎった。

「好きな奴でも想像してろ」
彼はこう言った。だが俺が想像していたのはこの布を一枚捲った先にある彼が乱れる姿だった。

ふと彼は今どのような顔をしているのかと思った。

吐息、吐息、吐息、吐息、吐息、吐息、吐息、吐息、

俺はやっと布を剥いだ。


「…ごめん」

彼は薄ら泣いていた。
泣きながら、腰を振り、息を切らし、乱れていた

「中、…で出して」

戦慄が走った。鳥肌が立つほど、それを求めた。



「丹さんさっき、好きな奴想像しろって言ったよな、」

自分勝手だよな、

「俺が想像したのは」

強引だし

「ここに居るあんただったよ」


俺達はほぼ同時に射精した。
結合部から精液が性器を伝って漏れた。

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