ガミタン







後味は苦いと感じた。

赤い肩の鬱血
残る唾液の湿り気

ぼんやりと日に隠れて部屋の隅で雪崩た。濃厚な嘆息を重ね、鼻声を飲み込んだ。

指でも切って渡してしまいたい




部屋が片付かないのは、必要な物を手元に置いておきたい所為である。
そして溢れる。


「どうせ近いじゃん」
「まあね」

「まだ終わって無いし」
「終わらせて無いからでしょ」


他人を巻き込んで片付けに当たり、漸く見れる様になってきた所であった。


「じゃあ買い出しあるからついでに送る」
「悪いね」



みすみす帰らせるつもりは毛頭無い


「丹さん、これ狙いだったんだな」
「みすみす帰らせるわけねえだろーが」
「欲求不満ー」
「だから泊まってって」
「はいはい」


日用品に紛れて買い物袋にはコンドームが入っている。



「俺ね、丹さんが誘ってくれんの好きだわ」


「は?なにその顔」
「アンタ、かわいくてさ」


肩に自然と足が乗った。

「キショイ」

顔の位置が近い
距離が近い
太腿に広がる鈍い痛みを感じた

「何つーか、好いてもらってんだよな」


温度が重なると熱はさらに熱く仄かに汗ばんだ。行き場に困る両手がシーツを掴んだ。

「自惚れんな」

「無理」

爪先が波打つ

握られた手の感触や力みが偶に恋しいもののように思える。首筋を伝う汗の一筋が都合の良い記憶から抽象されていた。


尚更激しくしがみつくと、湿った肌がキツく擦れた。その感覚は陶酔感を満たした。


「苦しいよ」

「わかってら」



部屋が片付かない。
相変わらず身の回りは物で溢れていて、見栄えが悪い。

買い物袋は口を開けたまま脇に転がっている。積み上げたCDや本、捨て忘れたアイスクリームのカップが焦りを急かした。


欲しい物には印でも付けておかなければ。


筋肉の軋む肩の皮膚を口で摘んだ。



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