小説
2011/12/28 23:29
サクタン
仲が良かった。良すぎるくらい。自ら「ホモダチでーす」なんて語っていた。勿論その頃はそんな気なんて無かった。ただ凄く楽しかった。それだけだと思っていた。
「俺、彼女出来るかも」
堺は思い出したように言った。
「…マジで、誰?」
ああ、痛い。痛いなあ。痛いよ。俺ってホモだったのかな。知らねえよ。
「B組の、ボブの子。昨日告白されたんだよ」
へえ、良かったじゃん。
そしたらお前、彼女彼女って言うようになるんだろうな。格好悪いな。何が良いんだよ、良くない。遠くに行くなよ。置いて行くなよ。
「オイ、何でお前が機嫌悪くなるんだよ」
「別に悪かねえし」
「じゃあ、…彼女作るなとか言えないのか」
「はあ?」
堺は不機嫌だった。
「女ったって…よく分かんねえよ。だから馬鹿にしてやめとけって、お前に言って欲しかったんだよ」
あんまり顔が必死だったので苛々した。
「堺のバーカ!」
ああ、俺ってホモだったのかな。ただ子供なのかな。どうなんだろ。だって所詮男は女を好きになる。それまで、それまで一人になりたくない。好きなのかな。分かんねえ。
「だって女よりお前がいいっつったらキモイって言うかと思ってよ」
「バーカバーカ!」
指の形が好きだった。何だかんだ言って面倒見が良いところが好きだった。一緒にいると楽しかった。彼にとっての一番で居たかった。ちょっとした、独占欲。
(キスとかしたくなんのかな)