「相棒」
そう呼ばれるのが嬉しかったし、その立場で満足していたはずだった。自分に付けられたあだ名も気に入ってたし、頼られるのは何よりも幸せだった。
でも、いつしか仲間という枠組みから外れ始めたんだ。それが何時だったのかは覚えてないし、きっかけも何もかも一切わからない。それでも何時の間にか宿っていたこの気持ちは萎える事なく育つ一方で。以前人の形になれると知った瞬間の喜びようは、自分でも驚いたくらいだ。それでアヤの隣にいれる、そのスタートラインに立てた気がした、ただそれだけなのに。それくらい俺はアヤが好きでたまらなくて。




「ねえひー、悪いけどいっそいでマサラタウンまで向かってくれない?オーキド博士からから急なお呼び出しがかかってさ…」


[ああ、わかった]


「ごめんね…ただでさえ急にジョウトまで来させちゃったのに…疲れてるよね?」


[いや…お安い御用だ]




アヤを背に乗せて空を飛ぶ時は完全に二人きりの世界。それが俺にとってどれだけ幸せかこいつは知らないだろう。その我が儘も笑ってくれる為なら叶えたくなるし、アヤの為なら何でも出来る。そんな俺の気持も、こいつは知らない。



「ありがとねひー」


[ああ…。さ、早く乗れ]


「はーい」




…いや、知らなくていいんだ。俺はただ、その笑顔が見たいだけだから。
バサリ、体を屈ませて翼を下げれば直ぐに感じる自分以外の体温に慣れた重み。それを喜ぶ自分に、俺も大概単純な奴だとひっそり目を細めた。




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