「パーシーが側にいるから、使えないんだよ」

そうコッソリ耳打ちされ、アスカは双子の後ろをヒョイと見やる。
パーシーが厳しい顔でキョロキョロと談話室を見渡していた。
そして、アスカとバッチリ目が合う。

「あ…」

アスカの声に、双子は嫌な顔をして固まる。
そして、アスカは苦笑い。

「ベル、ハーマイオニー、君達妹を知らないか?」
「パーシー、フレッドとジョージにも言ったけれど、私達知らないわ。部屋にいるんじゃないかしら? きっと予習復習してるのよ」

(いや、それはないと思う)

アスカはハーマイオニーの部屋にいるのではないか、の意見には賛同するが、後半の予習復習については賛同出来なかった。
ジニーは、ハーマイオニーのような優等生タイプではない。
多少ミーハーな所がある、普通の女の子だ。

「あたしが見てこようか? でも、もう寝てるんじゃないかなぁ…明日じゃ駄目な用事なの?」

時計の針は、10時ちょっと過ぎた場所を指していた。
絵を夢中で描いていて、いつの間にかハリーとロンを送り出してから二時間も経っていたらしいことに今気付いた。
ハーマイオニーも、アスカの言葉に、時計を見て、あらと声を漏らす。

「今すぐじゃなきゃってわけじゃないんだ。…うん、そうだよな。わかった、明日にするよ。よし、寝るぞフレッド、ジョージ」
「私達ももう寝ましょう。ハリー達なら大丈夫よ」
「…うん、そうだね」

アスカはハリー達が帰って来るまで待っているつもりだったのだが、ハーマイオニーを巻き込むわけにもいかない。
頷き、パーシーと双子にお休みと言って、部屋に戻る。
天蓋カーテンを閉め、布団にくるまり、ハーマイオニーにお休みを言って、アスカはそっと目を閉じようとした。
だが、突然やってきた熱い熱を目に感じ、アスカは夢とは一足先に、未来の映像を視ることになった。
アスカが視た映像に顔を険しくしていると、ハーマイオニーの声が小さく届く。

「――ベル? どうかしたの?」
「あ、ううん、大丈夫。お休みハーマイオニー」
「そう? お休み、ベル」

アスカはハーマイオニーのベッドから身動ぎする音が止むまで息を潜めて待ち、寝息が聞こえてくるとそっとベッドを抜け出した。
誰もいない、真っ暗な談話室を抜け、穴から這い出る。
アスカはそっと杖先に灯りを点け、夜のホグワーツを歩き出した。















To be Continued.