ロックハートの後を追って出ていこうとするアスカの腕を必死で掴み、ロンとハリーが引き留める。

「ハーマイオニーからもベルに言えよ!」

女の子に優しいアスカの事だ。
ハーマイオニーが言えば、抑えてくれるだろうとロンがそう言ったのだが、ハーマイオニーが告げた言葉は逆効果だった。

「そうよ、ベル。ロックハート先生は、私達に貴重な体験をさせて下さったのよ。怒る必要なんてないわ。感謝すべきよ!」
「「「…ハーマイオニー?」」」

アスカもハリーもロンも、ハーマイオニーが何を言っているのか分からなかった。

「彼は体験学習させて下さったのよ」
「体験学習だって?」

アスカもハリーもロンも、ハーマイオニーの言葉が信じられなかった。

「ハーマイオニー、ロックハートなんて自分で自分がやっていることを全然分かっていなかったんだよ」
「そうだよ。ハーマイオニーも見たでしょう? 彼はピクシーを侮るなと言っておきながら、教室に何の保護もかけていなかった。見てよ、あの窓。あのシャンデリア。ピクシーを一番侮って、さらには自分の力を傲っていたのは紛れもなくあの顔の良さしか取り柄のない男なのよ? 自分の手に負えなくなってあたしに押し付けたんだよ? 目を醒ましてちょうだい!」

ツラツラとロックハートの指摘を挙げたアスカは、ハーマイオニーを真摯な目で見つめる。
だがハーマイオニーは頭を振った。

「いいえ、目を醒まして欲しいのはベルの方よ。彼は本に書かれてあるような偉業を成したのよ。貴女も読んだでしょう? 私達に身を以て勉強させてくれたのよ」
「………………」

ハーマイオニーのあまりの信仰心に、アスカは目眩がした。
ハリーとロンも絶句している。

(ああ、そうだった。ハーマイオニーは教科書信者だった……これは何を言っても無駄だ)

アスカは、ハーマイオニーの説得を諦め、ピクシー小妖精の捕獲に杖を振った。

「本人は、自分がやったと仰ってますがね」

ポツリと呟いたロンの言葉は、ハーマイオニーに届かなかった。















To be Continued.