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暗く無音のはずのこの森に小さな泣き声が聞こえた

ブラッドはその声に立ち止まった

こんな時間に誰か居るのだろうか?
そう声の方へと歩みを進めようとしてまた立ち止まった

日が傾いた頃に街を通りすぎたがそこにはもう悪夢を見せる騎士の噂が広まっており足早にその街を通りすぎたことを思い出した


もしこの声の人物も自分の事を知っていたら?
怯えられるに決まっている
今まで何人も同じ事があった
全ての人が同じ反応をした
礼などない、ただそこには自分への恐怖だけだった

『『また同じことになるだけなら、そんな奴等なんて放って置いたら?』』

そう懐かしい片割れの声が響いた気がした
その声を振り払って笑った

何を言う。それは当たり前の事だ。私はそういう者だ。だが困っている者を放っては置けない。そうだろ?

自分自身にあの片割れに言うように目を瞑り
そして声の方へと急いで向かった

―――――――――――――――――

その場所には少女が座り込んで泣いていた
こちらの物音に気づいたのか酷く怯えた様子でこちらを見ている

『……どうした?』

そう声をかければフルフルと首を横に降っている
目は近づかないでと言っているようだ
さて、どうしたものか…
これでは近づくに近づけない…
とりあえずブラッドは状況を判断するこにした

どうやら崖から落ちたようだ
足に怪我をしているのか動けないらしい
まあ、怪我をしていなかったらこちらの姿を見て逃げるだろう
だが足の怪我は早めに処置した方がいいだろう
あまり長く放って置けば治りが遅くなる

ブラッドは持っていた布を裂くと少女に近づいた
目を瞑り体を縮める少女が小さく『来ないでください』と呟いて震え始めた

まあ、確かにこの見た目と行動では怖いだろうが……

『…怪我の手当てをするだけだ……』

もう少し優しい言葉をかけれたら良いのだがどうも自分はそういうのは苦手だ
手早く手当てをすませて少女の顔を見たが彼女はすぐに顔をそらしてしまった

やはり怖がられるのは何度あっても慣れない
といってもこのまま置いていくなんてもできない

『…歩けないだろ。家まで送る』

そう彼女に声をかけてから背中に乗るように促した
戸惑いながらも背に乗った彼女を確認して街までの道のりを歩いた

――――――――――――――――

家まで送り届けるとすぐに立ち去ろうとした
恐らく彼女は私の事を知っていたのだろう
ならば尚更早く立ち去らねば
そう思っていた

『……当分は無理をしないことだな』

そのまま立ち去るつもりだった
だが……

『あ、あの……』

少女はそう自分を呼び止めた
何かあっただろうか?
ブラッドは不思議そうに少女の方へと振り返った

『その…お茶いかがですか?』

助けてもらったお礼をと少女は言った
驚いた
自分に立ち去れという者達は沢山居たがお礼をしたいという者は初めてだ

『あの……駄目でしたか?』

心配そうにこちらを見つめる少女に
『あ、いやそういう訳じゃ……じゃ、じゃあ少しだけ』と答えるのが精一杯だった
その時の少女の少し嬉しそうな顔に久しぶりに心が温かくなるのを感じた

その後、少女 マディーナとはたまに会うことを繰り返すようになった

―――――――何かが始まる音がする――――――――

久しぶりに長く寝てた気がする
あまり姿を出して眠る事がないブラッドは木陰で休んでるうちに寝てしまったらしい

ふと近くに気配を感じて隣を見ればそこにはマディーナが花冠を作っていた

『あ、起きました?』

『……もう来ていたのか』

起こしてくれても良かったのだがと彼女に言えば

『寝てるブラッド君初めて見たから……それに起こすのは悪いかなって』

こう優しいのは彼女の良いところなのだが
今は寒い、風邪など引いたら大変だ
そう自分のマフラーを彼女に巻いた

太陽はいつものように沈んでいこうとしていた

...End


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ノク猫様から頂きました!!私の語彙力無い妄想を素晴らしく具現化して頂きました!!感無量です!!

ブラッド君のイケメン加減がメーター振り切ってますね!!マディーナも花冠作ってるとことかめちゃんこ可愛いんですが!?ああリア充末長くお幸せにーー!!

ノク猫様ありがとう御座います(*´∀`)

皆様!!お持ち帰りは厳禁ですぞ!?

2015.12.3





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