夢 | ナノ



「そういえばさ、あんた最近仁王くんといないの?」


あたしのベッドで携帯をいじってたマチが急に起き上がって前みたいに仁王くんの話しを聞かないと言った。
大学も氷帝に行ったマチはまだ忍足くんと良好なようで今日も彼好みの脚の出るホットパンツを着ていた。





「んーだって学科違うしねー」





明日の準備をしながらそう返すとマチはそうだよねと言う。





「でも合宿についてくってことは久々に会うの?」

「そうかもー。でも仁王元々サボり癖あるし、家大好きっ子だから来ないんじゃない?」




あぁ、ありえる、と笑ってから思い出したようにそういえばと呟いた。
でもあたしを見て気まずそうに眉をしかめてまたベッドに転がる。






「え、なになに」






じっと見つめると少し迷ったのか短い沈黙のあとため息をついてから変な噂があってさ、と続く。






「最近仁王くんが女の子食い散らかしてるって噂が流れてるの。
前なんて女子と喋ることすら殆んどなかったのに」









あの仁王が、女の子と付き合ったこともない仁王が?
あたしの中の仁王はあの忠犬みたいな仁王で止まってるから想像が全くできない。






「それ人違いじゃなくてー?」

「あんな銀髪仁王くんしかいないでしょ」







実はさ、女の子が仁王君に腕絡めて歩いてるとこ見たの
そう言うマチはあたしではなくあたしの手元の荷物に視線を落としていた。







「ごめんね」

「え、何で謝るの」

「だってあんた仁王くんのこと大好きでしょ」





大好き…って言うと語弊があるんだけどなあ。






「彼女できたんじゃないの?明日聞いてみるよ」





どうしてか今メールで聞く勇気はなかった。