落ち着けあたし。これは夢だ。悪い夢。そうでなければ今頃あたしはおみくじ引いて、お守り買って、みんなと別れて、それから幸村とファミレス寄っておいしいもん食べてるはずだもん。 そうだよ、今横にいるのは仁王なんてありえな、はははっ。 「なまえちゃん落ち着きんしゃい、これは現実じゃ。」 あああああああ!!!!!!!!!!! 今混乱しとるなまえちゃんの代わりに俺が説明するかの。 うん。まぁ完結に言えばみんなとはぐれた。 おみくじ引くとこまでは良かったんじゃが、そのあとその神社のイベントでやたらテンションの高い神主が豪快に餅をばらまきよった。プリッ!勿論食いもんが落ちてきて丸井が黙っているわけはない。興奮した丸井が俺らを押しのけて餅に喰らいつく。ぶつかり、盛大に倒れ、ブチ切れたなまえちゃんは般若の如し。(あれ?風林火山?)ぶっ叩きに立ち上がったはいいが、丸井と化した参拝客が一気に押し寄せてきて俺たちは波に呑まれた。 そして気づくとメンバーおろか人、一人もおらず、見渡すと見たことのない場所。木と砂利しか見えん。辺りは静まり返っている。 そして、今に至る。 諦めんしゃい。 「いやいやいや!!有り得ない!!ホント有り得ない!!あのクソブタァァァァァ!!!」 幸村とファミレスー!と叫ぶと木霊して小さい声が戻ってきた。 「もー!ホント有り得ない!仁王のバカァ!!」 「俺のせいじゃないもん!」 「八つ当たりだ!」 八つ当たりとかタチ悪いぜよ! なまえちゃんのコレは慣れたけど時々理不尽だと思う…。 とりあえず歩こ、と言うとなまえちゃんは黙って頷いた。 暫く歩いたが見覚えのある道にはたどり着かない。もう砂利が酷くて歩きづらいし、寒いしなまえちゃんの言うとおり最悪じゃ。 ちらりと隣を見ればやっぱり般若が一人。でもその表情もすぐに崩れた。 泣きそうな顔。 なまえちゃん、 声をかけようとすると急に立ち止まった。 「あー…寒いしお腹空いたし、…幸村に会いたい」 え? 「…ぐしゅっ」 びっ、 くりした。 だってだって、なまえちゃんが幸村にゾッコンなのは知っとったけど、つん、とした凛々しい眉はふにゃんと「ハ」の字に下がっとる。猫目の目尻は垂れてうっすら涙すら浮き上がってる。 普段、ツンツンしとるから余計、可愛らしく見える。 こんな、女の子らしい表情するなんて、不覚にもときめいちゃったぜよ。 仲間由紀恵には負けるけどな!プピーナ! (いつまでたっても進展しない) |