夢 | ナノ





「初詣?」

「うん。テニス部は殆ど受験するやついないし、暇だろうから行かないかって思ってさ。」

「柳生くんと柳は?めっちゃ違うとこ行きそうじゃんね。」

「あぁ、柳生は立海の医学部行くんだってさ。柳は法学部だったかな。」

「…ホントにレベル高いなぁ」


ズルズルと最後の一滴をすすると幸村は「行儀悪いよ」と言った。


今は冬季講習の2時間目が終わって15分休憩に入ったところ。なんで幸村があたしの教室にいるのかと言うと、

まぁ、簡単に言えば周りにバレたのだ。

別に隠していたわけじゃないけど、周りに知られてからあたしと幸村の周りには女子が絶えなかった。特に幸村のとこにはキラキラバサバサテカテカした子(所謂ギャル)がキンキン声で「幸村くぅん、なんでー!?」と騒いでた。さすがの幸村も疲れ果てるかなって思ってたら「どけよ、ブス」って笑顔で去っていった。びっくりして仁王に聞けば「逆に幸村の腹黒さを知らんなんてなまえちゃんはモグリじゃのぉ」って言われた。勿論殴った。

まぁそっからは普通にお昼とかはとるようになった。ちょっと恥ずかしいけど。

あ、仁王戻ってきた。リプトンのミルクティーいいなぁ…。


「なんじゃ、幸村。…俺の席」

「あぁ、仁王。悪いけど借りてるよ」

「…うん」


…弱いなぁ。へたれだなぁ。多分逆らったところで勝てないんだろうけどさ。


「んーそれでテニス部みんなで行くの?」

「あぁ、真田なんて気合い満タンで来るよね。」

「あー」


ちっちゃい頃、家族全員で着物着て大名行列してたのみたな。大名行列ー!!って言ったら「違うわ!」って顔真っ赤にして言われたけどさ。


「んーそれ、俺も行かないけんの?」

「当たり前だろ?サボったら潰すからね。」

「あい…」


ホントにペテン師かコイツ