…ーー目を開けると、そこは棺桶のようなケースの中でした。

意味が分からず、目をぱちくりと瞬く。
ちょっと待って。私は昨日、なにをしたんだ。
若干パニックになっている私は、昨日のことを思い出そうと頭を抱えた。

…昨日、私は学校から帰ってきて、晩ご飯を食べて、勉強した。
で、絵を描いて、お風呂に入って、絵を描いて、自分の部屋で寝た。いつも通りだ。

…はずだが、ここは私の部屋でもなんでもない。おかしい。
ほわっとした光が浮かんだ天井(おそらく棺桶のような蓋)に、ふわふわとしたクッションのような敷布団(違うと思うが)。
なんでこんなところに寝ているのだろう。

また疑問が浮かび、頭を抱えようとするとガタッと音がして蓋が開いた。


「え」


半身を起こして辺りを見渡す。すると、ドアらしき場所に長身の青年が立っていた。
ぴょこ、とアンテナ(?)が動くのが影で見えた。


「…おまえ…なんで、えっ…」


相手も困惑しているようだったが、私も困惑してるんだ。察して。状況を説明して。
青年は私の方に駆け寄ると、ガッと肩を掴まれた。


「うぇっ!?」


青年の顔が逆光だが見えた。好青年、という感じでイケメンだ。
そのイケメンがいきなりどうした。


「おまえッ、いつ侵入したんだ!!?」


「え、いや、侵入とか」


なにを言っているのか分からない。
私がさらに困惑していると、彼は畳み掛けるように「おいッ」と叫んだ。
なんか聞いたことある声に顔だ。…なんだっけ。


「目が覚めたらここにいたんですって!!私が聞きたいですッッ」

「なにを現実味がないことを…!!」

「私がここにいる事は現実なんですかッ!!?」

「じゃあ、なんでここにいるんだよ!?」

「夢じゃないんですか!?」

「夢だったらなんで俺の前にいるんだ!!」


話が噛み合わない。彼はハァ、とため息を吐くと私の肩を掴んでいた手をおろした。
まず分かったのはここは現実である、という事。
そして、このイケメンの聞いたことのある声は、おそらく高山みなみさんに似てること。


「と、とりあえず…ここはどこですか」


私がそう質問すると、彼は怪訝そうな顔をしながらも答えてくれた。


「…ジャバウォック島だ」


ジャバウォック島。心の中で繰り返す。
1つの答えに着実に近付いている私がいた。


「じゃあ、あなたの名前は…」


「…素性の知れないヤツに言うと…」


「みょうじなまえです」


私が即答すると、彼は複雑そうにこちらを見ながらも名前を教えてくれた。


「…日向創だ…」


日向創。高山みなみ。アンテナ。イケメン。ジャバウォック島。
カチカチカチッ、と某明○義塾のCMのように方程式が組み立てられていく。
そして、最後に辿り着いた答え。




"スーパーダンガンロンパ2の世界=トリップ"




なんて現実味のない答えだろう、とまた頭を抱えた。

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