まずは日向くん。
「今日は狛枝が起きて、少し話してからはずっとみょうじと一緒に挨拶回りだったな。これからよろしくな、みょうじ」
日向くんがこちらに微笑みかけてくれたので、「こちらこそ」と微笑み返す。
次は豚神くんだ。
「今日は本を読んで、絡んできた澪田と話していたな。その後にみょうじと会って"豚神"と呼ばれたが、それもいいな。よろしく頼む、みょうじ」
それも良いんだ、と苦笑を漏らしながら、「こちらこそ」と返す。
次にソニアさん。
「わたくしは田中さんと左右田さんと過ごしていました。みょうじさんと会って、元気付けられました。褒めて遣わす…いえ、ありがとうございます。みょうじさん、これからもよろしくお願いします」
王女ではなく、ソニアとして言ったのだ。その言葉が嬉しくて自然と笑みが浮かぶ。
そして次に蜜柑ちゃん。
「…わ、私はこれから必要になる、と思って…水を運んでいたら、なまえさんに出会ってぇ…て、手伝ってもらいました…す、すみませぇんっっ!!
で、でも…本当に嬉しかったのでぇ…これからもよろしくお願いしますぅっ…!」
なぜ謝った。相変わらずの蜜柑ちゃんに苦笑すると、照れ臭そうに「えへへぇ」と笑った。
次は左右田くん。
「俺はソニアさんと…まぁ田中とも過ごしてたぜ。で、そこのみょうじと会ったんだ。改めてこれからヨロシクな」
田中くんを一回ギロリと睨む左右田くん。それを気にしていないようで「ふんっ」と鼻で笑った。
そして澪田ちゃん。
「唯吹は白夜ちゃんと過ごしてたっす!!なまえちゃんとも会って、チョー楽しかったっすよ!!これからもよろしくっすー!!」
そう言うと、澪田ちゃんはぎゅーっと抱きついてきた。頭を撫でてやると、気持ち良さそうに笑った。
次は田中くん。
「俺はそこのソニアと左右田と、やってきたみょうじに破壊神暗黒四天王の魔力を見せつけていた。さすがに恐れおののいていたなっ!!」
ふはははっ、と高らかに笑う田中くんにその場にいたソニアさんと弐大さん、終里ちゃん以外の皆が苦笑を漏らした。
次は弐大さん。
「わしはずっと終里とトレーニングをしておった。レストランでみょうじとあったのぅ!!花村に感謝じゃ!」
田中くんに釣られたのか、がっはっは、と大きな声で笑う。これにも苦笑を漏らすしかない。
次は終里ちゃん。
「弐大のおっさんとトレーニングしてたんだけどよぉ…やっぱ腹減って。みょうじもすまねぇな!!」
終里ちゃんは弐大さんの隣に座ると、こちらに向かってにかっと笑った。それに笑い返すと、満足そうな顔を浮かべた。
次は西園寺ちゃん。
「小泉おねぇとずーっといたよ。みょうじおねぇが来たけど、正直言って邪魔!!…でも、みょうじおねぇならいいかな」
これはツンデレのデレいいのかな、と笑うと西園寺ちゃんは「キモッ」と私を蔑んだ。
次に花村くん。
「ずっと厨房にいたよ。新作のデザートを作っているから、よければ食べにきてよね!!みょうじさんも大歓迎だからさ」
そうこちらにウインクすると、花村くんは「んふふっ、好感度アップ」と言って座った。それで好感度下がったよ、とは言えないが。
次は九頭竜くん。
「俺は1人で散歩してたぜ。時々ペコがついてきたけどな。あぁ、みょうじにも会ったな。よろしくな」
簡潔に言うと、九頭竜くんはすぐにペコちゃんの隣に座った。なんだ。ツンデレなだけじゃないか。
次は小泉ちゃん。
「アタシは日寄子ちゃんといたよ。時々写真を撮ってたの。なまえちゃんに会った時に思ったんだけど、なまえちゃんの写真、また撮らせてね?」
「もちろん」と笑うと、小泉ちゃんは「やったぁっ!!」と無邪気に喜んでくれた。写真を撮ることが本当に好きなんだな、と思う。
そしてペコちゃん。
「私は1人でいた。ぼっちゃんの姿を見た時はぼっちゃんと行動を共にしたが、それ以外は1人だ。改めてよろしく頼む、みょうじ」
ペコちゃんは無表情に九頭竜くんの隣に戻る。お前らもう結婚しろよ。
ペコちゃんで最後というのもあり、苗木くんが私と狛枝くんの隣にやってきた。
「じゃあ次はなまえさんね」
「あっ、私?えっと…じゃあ、」
前に出ると、緊張しなくてもいいのに心臓が高鳴った。大丈夫。すぐ終わるんだから。
「今日はハプニングばっかだったけど、皆さんに会えて良かったです。挨拶に返してくれて、ありがとうございます。これからよろしくね」
私が言い終わり、元の席に戻るとパチパチと拍手が起こった。なんだか恥ずかしくてはにかんでしまう。
「次は狛枝クンだよ。ありのままでいいから」
そう苗木くんが狛枝くんを送り出すと、狛枝くんも緊張しているようで、右腕で髪を触ったりと落ち着きがなかった。女子かよ、と思った私は普通だ。
「えっと…今日目覚めたばっかりだけど、ずっと喧嘩ばっかりだったよ…これから、よろしくね」
狛枝くんが席に戻ると、苗木くんが「あっ」と今思い出したように声を上げた。どうしたんだ、と思いながら苗木くんを見ていると、苗木くんはぽりぽりと頬をかいた。
「気付いたんだけど、狛枝クンのコテージもまだだったんだ…だから、その…なまえさんと同じ僕のコテージでいいかな…?」
「…え」
「苗木クンのコテージ…!?」
そう私たちの声が重なると、その場にいた皆がその言葉に弾かれたように声を上げた。
「それはダメだろッッ!!!」
「ダメですぅぅぅっっっ!!!」
「狛枝くんでもぼくは大歓迎だよッ!!」
耳が痛いほどに叫ぶ皆に落ち着いてほしい、と思いながらもこれはムリだ。
「ゴメンッ!!でもすぐにコテージは離れるから」
「じゃあ、狛枝が俺のコテージに来ればいいんじゃないか?」
「あ、それなんだけど…ボク以外のコテージには"夜時間の他人の立ち入り"を知らせるセンサーがついてて…ムリなんだよね…」
「な…っ」
なんて高機能のセンサーが付いているんだ。おそらく、彼らが絶望だということを考慮して、だろう。感心しながら、狛枝くんのことは任されているので、どうにもできない。なんていうフラグだろうか。
「私は狛枝がいてもいいけど…」
「えっ」
「仕方ないね…ボクもみょうじさんといるのは死にたいくらいに嫌だけど、苗木クンが言うならそうするしかないしね。ホントにみょうじさんと一緒なんて嫌だけどね」
2度もいうな。でも、狛枝くんの嫌味が軽くなっている気がする。苗木くんになにか言われたのだろうか。
「じゃあ…申し訳ないけど、それでよろしくね」
不安そうな顔をして、苗木くんは解散を告げた。苗木くんはもう船でこの島を出て行くらしい。明日の朝9時には、十神くんと霧切さんが着くらしいので、挨拶をしてほしい、と。相手はもう私のことを知っているらしいので、絡まれるだけだと言った。
それが嫌です。十神くんの絡みや嫌味は面倒臭そうです。そう言えずに、苗木くんは船に乗り込んでしまった。
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