ホテルのロビーには、元々ロビーの近くにいた数人が集まっていた。
私のことを説明するのかなと首を傾げると、日向くんが説明してくれた。


「俺たちは毎日、1日の反省やしてきた事を言うんだ。修学旅行の後のレクリエーションみたいな感じだな。
狛枝も起きたからそれも言うと思う。みょうじのことも言うだろうな」

「そうなんですか…私も言わなきゃダメですかね?」

「…ここで生活するからには参加しないとな」


面倒くさいなぁ、と思いながらロビーに入ってくる人たちを眺める。
最後に入ってきたのは九頭竜くんとペコちゃんで、面倒臭がりながら参加していることが分かった。

全員が集まったが、苗木くんと狛枝くんの姿はまだ見えない。狛枝くんを引っ張っている苗木くんが目に浮かぶ。


「遅くなってごめんね。…ーーほら、狛枝クンもはやく来て」


数分してから苗木くんが疲れながらやってきた。私の勘は当たっていたようだ。
ドアの裏側で隠れているであろう狛枝くんのコートを引っ張っている。こんなに暑いのにコートはまだ着ているんだな、と逆に感心してしまう。
痺れを切らした日向くんが狛枝くんの方に駆け寄り、「狛枝ッ!!」と腕を引っ張った。呆れた私は狛枝くんに挑発するように声を張り上げる。さぁ、この挑発に乗れ。狛枝くん。


「狛枝くんは人に前に出て挨拶もできないほどなんですね」


すると、日向くんの「うおっ!!?」と言う声の後に、「いきなりなんだよ狛枝」「ちょっと黙ってくれるかな!?日向クンッ!!」と喧嘩腰の言い合いが聞こえた。
なにしてるんだと思い、ドアの裏側に頭を出そうと駆け寄る。「みょうじは来るな!!」「みょうじさんは来ないでくれるかな!!」と怒鳴られた。なぜ。

その後5分ほどの葛藤があり、とうとう折れた狛枝くんがフードを被り、顔を隠しながら皆の前に出てきた。その場にいた皆は苦笑して「久しぶり」「おはよう」と声をかけていた。
その度に狛枝くんは真っ赤になって「ごめん」「お、おはよう」と自重気味に応えた。


「えっと、今日は狛枝くんが起きた、っていうハッピーニュースに加えて、みょうじなまえさんが一緒に生活することになったんだ。
みょうじさんは超高校級の絵師で、ボクがいない時の皆のことは彼女に任せているから、ヨロシクね」

「改めてよろしくお願いします!!」


私がペコリ、と頭を下げるとパチパチと拍手が起こった。まだ歓迎されているようで安心した。
狛枝くんは嫌そうに膨れていたけど。


「みょうじさんのコテージはあと1週間くらいで用意できると思うから、それまではボクのコテージを使ってくれるかな?」

「えっ、でも苗木くんは…」


私が驚くと、苗木くんが答えてくれる前に、狛枝くんをはじめとした皆に反対された。


「苗木クンが迷惑だよ。みょうじさんは分からないのかな?ちゃんと断りなよ」

「いや、そうじゃないだろ。2人で一緒のコテージっていうのは、俺でも反対だ」

「だめですよぉ!!苗木さんも一応、男性なんですからぁっ」

「そうだよ!!むしろぼくのコテージで一緒に夜の営みを…っ」

「なに言ってんのよ、花村ッ!!」


全員が口々に言うと、苗木くんは泣きそうな顔で「それは違うよ…っ!!」と言った。
私としては、むしろ苗木くんのコテージなんて大歓迎なんだが。


「明日から1週間ほど戻るから、その間は使って欲しいってだけで!!ボクも一緒に使う、ってわけじゃないよっ!!あ、明日からは十神クンと霧切さんが来るからね」


ああ、なんだ。そんなことか。と納得すると、皆は恥ずかしそうに「すみません」と謝っていた。勘違いで苗木くんに反論していたから。


「じゃあ、皆の今日の出来事を教えてくれるかな?」


苗木くんがそう言うと、順番が決まっているらしく今日の出来事を話し始めた。

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