食べ終わり、お腹も膨れた。幸せな気持ちになる。


「もうホテルにはいないのかな?」


水を飲みながら言うと、外を眺めていた日向くんが「おっ」と声を小さく上げた。
日向くんの視線の先を見ると、マフラーを巻いた少年の隣に少女がいて、少し後ろからは追いかけるように少年が走っていた。
おそらくあの3人は、田中眼蛇夢くんにソニアさん、左右田和一くんだろう。よく可哀左右田タグと眼ソニタグを一緒に見ることがある。


「左右田もよくやるよな…」


呆れたように笑う日向くんの横顔を見ながら、席を立つ。それを見た日向くんは「行くのか?」と言ってきたので、「はい。行きますよ」と返した。
レストランを慌てて出て、3人の姿を探す。後ろからちゃんと日向くんもついてきた。


「あっ、いた!!」


3人の姿を確認した私は、プールサイドで何かをしている3人の方へ駆け寄った。


「すみませんッ!!」


私の声にビックリしたのか、ソニアさんと左右田くんは小さく悲鳴を上げた。「ごめんなさい」と苦笑しながら挨拶をする。


「ワケあって一緒に生活することになりました。みょうじなまえです」

「そうなんですか!!わたくしはソニア・ネヴァーマインドと申します。気軽にソニア、と呼んでください」

「オレは左右田和一っつーんだ。ヨロシクな」

「俺様は混沌より出でし氷の覇王…田中眼蛇夢だッ!!」


濃いメンバーだなぁ、と苦笑する。左右田くんから「男じゃないなら問題ねぇな…」と言う声が聞こえてきた。ソニアさんを狙う人が増えるのが嫌なんだろう。可愛い。


「3人はどんな才能なんですか?」

「わたくしは超高校級の王女、と呼ばれています。けれど、わたくし自身の才能ではないので…」


悲しそうな辛そうな顔をしたソニアさんに、「それでもソニアさんはスゴい人だよ」と言うと、ソニアさんは複雑そうに微笑んで「ありがとうございます」と返してくれた。


「オレは超高校級のメカニックだ。なんか作ってほしいもんがあったら、遠慮なく言ってくれよな」

「俺様は巨大な魔力を持つ魔獣たちの契約者だ!!魔獣たちはこの世を征服できるほどの魔力を持っているのだ。命が惜しければ近付かないことだな」

「田中は超高校級の飼育委員だ。少し厨二が入ってるんだよ」


田中くんの意味が分からない自己紹介を日向くんが説明してくれた。飼育委員…可愛い。


「そんなんですか…3人は何をしていたんですか?」

「破壊神暗黒四天王の1角、ジャンPを探しているのだ!!」


ジャンP…他の子たちを見るにハムスターだろう。他の子たちは田中くんにべったりだ。さすがは超高校級の飼育委員。
私は「一緒に探します」と言って、辺りを探った。
日向くんは「…仕方ないな…」と言いながらも手伝ってくれたので、クスリと笑ってやると拗ねたように「お前なぁ…」と睨まれた。

その後ジャンPは見つかり、田中くんからは理解しにくい感謝を言われた。

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