船の到着後を知らせる音と、操縦士さんの声で目を覚ます。
慌てて目をこすって外へ顔を出してみれば、ジャバウォック島の船着場がすぐそこにあった。そこには数人がいて、彼らがこちらに手を大きく振っているのが見えた。私もそれに振り返す。
その時間は船が到着したことですぐに終わり、私は急いで船を降りた。

船着場にいたのは、凪斗と豚神くん、九頭竜くん、ペコちゃん以外の皆だった。
皆の歓迎を受けながら、久しぶりのジャバウォック島の感覚を踏み締める。この常夏の島だ。この暑さだ。


「ただいまー!!!」

「おかえり」
「おかえりなさい」


皆の声がなんとなく大人びている気がする。それに比べて私は…仕方ないか。
いまだに未来機関のスーツでいる私は、着替えていいかと尋ねるついでにもうひとつ。


「それと、凪斗はどこに?」


その問いに、日向くんが答えてくれた。


「お前が帰ってくる、って聞いて飛び出して行ったんだけど…今どこにいるのかは分からない」

「そっか。ありがと、日向くん」


日が暮れる前に凪斗を見つけられれば良いのだが。
そう思いながら、私は久しぶりの自分のコテージへと向かった。

コテージは私がジャバウォック島を出た日と全く同じ状態で残っていた。置いておいた服も本も、全てがそのまま。埃も被っていないので、皆が掃除してくれていたのだろう。
私はクローゼットを開け、お気に入りのパーカーを前と同じように羽織った。なんとなく若くなった気がする。
この気持ちはあれだろう。大人になって、久しぶりに出てきた制服を着てみたら「うっわ、懐かしっ」…みたいな感情。わけがわからないね。


「…まぁ、成長してない、って事なんだけど」


この年になると女性は成長しない、とは言うが少し悲しくなる。私もお酒が飲める年になったんだし、精神的には成長していると信じたい。


「…ただいま」


その一言を彼に言ってこよう。そう意気込み、私はコテージを飛び出した。

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