02 | ナノ


鳴り響いたアラームを止めて起床し、玄関を覗き込むと愚弟が倒れ込んでいました。普通であれば体調などを気遣うのでしょうが、ここ最近ずっとこうなので大分慣れてきているワタクシ自身に嫌気がさします。










最近夜遅くまで遊ぶ事が増えたようで、愚弟が家に帰ってくることが少なくなりました。帰って来ても朝帰りで、挙げ句玄関で眠り込む始末。今までは必ず日付が変わる前には帰って来ていたと言うのに。鼻腔に纏わり付くような甘ったるい香りは女性の香水でしょうか。余計にワタクシの神経を逆なでします。



……もう少し自分の立場だとか身分だとかを考えて行動して頂きたいものです。職場で己がどの程度噂されているか自覚するべきです。昨日は何処で、一昨日は此処で白ボスを見た。そんな話を耳にする度ワタクシの機嫌が急速に悪くなっていくのが解りました。部下に八つ当たりをしてしまうワタクシの幼さにも腹が立つ。



「おい、愚弟」

「……ん、あ、インゴ?」

「最近お前遊び過ぎではありませんか?己の立場を弁えなさい」

「……インゴには関係ないでしょ?」

「関係無いとは何ですか、お前の行動でワタクシも迷惑を被るのですよ」

「……煩いなぁ、早く支度して仕事行きなよ、遅刻するよ」



ゆっくりと起き上がり愚弟はワタクシを睨みつけ、自室に戻って行きました。後に残ったのは先から匂う香水の他にアルコールの臭い。これで乱れた生活をしたいながら業務に遅刻もしない、支障もきたさない。特に注意すべき問題が無い事もまた事実です。ですが、何故でしょうか。何故こんなにも胸が痛むのでしょう。モヤモヤする、とでも言うのでしょうか。










愚弟の夜遊びが増えたことに反比例するように、ワタクシ達の会話が減りました。勿論職場でも、業務外の会話が大分減ったように思います。……未だ愚弟は笑いません。







愚弟との会話が減りました

―――――
(この痛みは何でしょう)

私が書きたいのは恐らく次の部分なのです\(^o^)/

2012.10.24 執筆
2012.12.02 加筆修正


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