第三者目線

サマルトリアでの話ですわ。私はサマル王子をお慕いしておりますの。でも、最近サマル王子は近隣国ローレシアの王女様とよくお会いになっているんです。それも月に一度などといった回数ではなく、週に何度も、といった具合で。あ、ほら、今日もいらっしゃってますわ。

「ムーンと買い物の予定だったのに付き合わせちゃってごめんね……」
「大丈夫だよ。ムーンちゃんも今日は予定が合わなくなったって言ってたし、兄様も鍛錬で一日暇だったから。」
「そう?ならいいんだけど…でも本当にごめんね。」

恋仲そのものの雰囲気がお二人のまわりを漂っているものですから、遠目に見ていても嫉妬で胸が痛みますの……私に、そこに入る隙間はありませんでしたわ。

「そうだ!ナマエに何か贈らせて?そしたら僕の気も落ち着くと思うから!」

「だっ、ダメだよ、そんなのサマルくんに悪いよ……!」

お二人とも顔を真っ赤にしてお話していました。ナマエ様が恋のライバルだなんて、勝ち目がありませんわ。

「それじゃ僕が嫌なんだってば。ほらっ、一緒に行こう?」

「ええええっ、本当に行くの?私はサマルくんと一緒にいられるなら何にもいらないんだけどなぁ。」

あら……もう結ばれるのも時間の問題ですわね。ここは潔く諦めるべきなのかしら。ああでも、私は何年も何年もサマル王子をお慕いしておりましたのに、簡単に諦めてしまっても良いものなのでしょうか……

「ッ……!ごめんナマエ……今こっち見ないで……」

「えっ、もしかして、そんなに嫌だった……!?ご、ごめん……!私ったら相手の気持ちも考えずに、軽率だったね……」

「あ、や、違っ、そうじゃないんだけどっ、でも今はダメ!」

桃色のオーラが取り巻いていましたもの、もう負けを確信しましたわ。もうダメみたいですわね。

「あ、のさ。ナマエがよければなんだけどっ……今日、泊まりに来ない…?」

直々のお誘いですから、断れるはずもないでしょうし。何よりナマエ様ならサマル王子を安心して任せられますわ。胸は痛みますけれど、でも幸せならばそれでいいのです。

サマル王子が悲しんでも、ナマエ様が悲しんでも、私は許しません。御二方が幸せでなければ意味がありませんものね。

どうか、お二人に幸福が訪れますように。
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