利央は甘えんぼうだ。
あんなに大きいおとこのこが甘えるのに、利央より数十センチ小さいわたしで足りるのかな?っていつも思う。
利央に抱きしめられるとわたしは利央に埋もれるし、利央の背中からは、わたしは見えなくなるのだ。
利央が惜しみなくくれる愛をわたしは受け止めきれていないような気がする。
というか、受け止めきれていない。
「ね、こっち向いて」
「ん」
利央はキスが好きだ。
もちろんわたしも利央のことが好きなのだから、利央にキスをしてもらうとしあわせな気持ちになる。
だけど、ぜいたくな悩みかもしれないけど、利央はキスをしたがり過ぎなのだ。
わたしは利央とキスをするたびに息を止めちゃうし体が固まってしまうし頭が真っ白になる。
とにかく、こんなにいっぱいキスをしていたらわたしの体がもたない。
取りあえず力いっぱい利央の胸板を両手で押して突き放してみた。
見上げると利央が拗ねていた。
「・・・なんで?」
「・・・」
「俺のこと、嫌いになった?」
「ううん」
「・・・じゃあ何で?」
「利央はさ、キスし過ぎだよ」
「キス、いや?」
「うん」
「・・・そっか、気付かなくてごめん」
「えっと、利央とキスすると、緊張しちゃうから、やだ」
「うん、知ってる」
「え?」
「そういうの、可愛いなって思って、いつもキスしたくなっちゃうんだよ」
いつの間にか拗ねた利央はもういなかった。
利央がかっこよくて、くやしい。
「き、キスって、もっと、大切にしなくちゃだめなんだよ!」
「大切に?」
「死も同然の永遠の眠りについたお姫様が王子様のキスで目覚めたりするでしょ?そのくらいすごいものなんだよ、キスは」
「・・・うん、そっか、じゃあ」
「え?」
ねぇ しんでみてよ。
俺のキスだって、お姫様を目覚めさせられる。
Nov.4,2010
りおたん2010!
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マシュマリス りゆ