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普段生活していると、たまに色々な何かの音がするものだ。家族が多ければ必然的にその音も増える。逆に言うと、一人暮らしで静まり返った室内から音が聞こえればもしや何かいるのでは?と疑ってしまう事があるだろう。


ガタン

その音が響いてきたのは台所からだった。ステンレスの台に固い何かを置いたような音。

「……またか」

溜め息をつきつつ台所に向かうと、そこには予想通り、水に濡れたガラスのコップが一つだけ置かれていた。横から乾いた布巾を取り、コップを拭いて元あった棚へ戻す。平然としていられるのはこれが初めてではないからだ。
長年噂になっていただけあって、この幽霊屋敷に住み始めてから度々このコップのように、勝手に物が動いている時がある。ポストに入っていた手紙や教科書、スリッパやバックなど、気付かない内に移動しているのだ。しかも決まってそれを見つけると『くすくす』とせせら笑う声が何処からか聞こえてくる。幽霊の仕業なのか、何にしろ、今のところ人体的被害は被ってないので好きにさせている状態だ。

「そういやそろそろ、晩御飯だな…何食べようか」

時計を見ると既に6時を回っていて、ちょうど腹の虫が鳴いた。冷蔵庫の中を見渡しながら、今日は野菜炒めでもやろうと食材を取り出した。あ、牛乳の位置も動いてる。幽霊も飲むのかな、と考えながら人参やピーマンをザクザクと刻んだ。

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