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SIDE:Lightning
アカデミーでの仕事を終え、帰宅しようと帰路につくと後ろからなんとも言えない視線を感じた。
街を歩いていて視線を感じること自体は少なくないが今日のは特別薄気味悪い気がする。
曲がり角を曲がる時店のウィンドウで確認するとどうやらそれは、柄の悪い数人の男のグループからくるもののようだった。故に跡を付けられているという事に気付くのも早かった。
何者とも知れない男達に自宅の場所を知られるのは不味いと思い、近くのショッピングモールで時間をつぶす事にする。
それから1時間程度経過しただろうか、時間を潰して見ても男達は私の後を一定の距離を開けてついてくる。
あんな分かりやすい行動をとっておいて私に気付かれていないとでも思っているのだろうか、とりあえずこのままでは埒があかないと思い、私はショッピングモールの人ごみを利用して連中から逃れようと走り出した。
そのまま数分走り続け、路地裏の小さな道を進む。
それでも男達は私をまるで金魚の糞のように追ってくる。
裏路地の曲がり角に身を潜め男達が現れるのを待つと、すぐに男達が追いついてきた。
「人をつけ回すような真似をして、私に何の用だ?」
私がそう男達に尋ねると男達はにやぁと怪しい笑みを浮かべじりじりと私に近づいてきた。
「自分からこんな人気のない所に来るなんて、分かってんじゃん、ファロンさん?」
男の一人が私の肩を触る。その手を振り払うと他の男も調子に乗って近づいてきた
身のこなしからしてどうやら柄の悪いただの一般人のようだった。
「本当にこの女ヤっていいのか?早くヤっちまおうぜ」
男の一人がそう言うと他の男が私の腕をつかむ
「放せ。アカデミーに通報されたいのか?」
「できるもんならやってみろよ」
男達は聞く耳を持たない
「女一人で男に勝てるとでも思ってるのかなー?お姉さん?」
一斉に襲いかかってくる男達をするりと交わし男の懐にパンチを打ち込む
「正当防衛だ。」
次々に襲いかかってくる男だが、一般人に劣るような私ではない。数人いた男達を拳で気絶させていく。
今の私は剣を持っていないとはいえ、剣がなくて戦えぬ訳ではない。
対人訓練は昔から受けていた。最後の一人を残して気絶させたところで、私はリーダーであろう完全に怯えて腰を抜かしている男に問う
「お前達はなんだ、なぜ私を知っている?」
「ある人に依頼されたんだ!お前をやって写真をとれと!俺達は悪くない!」
「ほう、ある人とは誰の事だ?正直に話せ。さもなくば通報だ」
「知らない!ただ金をやるからと…知らない女だ」
「……今後二度とこのような真似はするな。二度とそいつには関わるな」
そう言いのこしその場から立ち去った。
アカデミーに通報するにしては証拠が足りないし、実質の被害はストーキング以外に受けていない。それに正当防衛にしてはやりすぎた。
私を狙うという事はもしかしたらホープも何者かに狙われることがあるかもしれない
夕食の時にホープに今日あった出来事をまとめて話すことにした。
「…そんな事があったんですか…それは心配ですね」
「相手は素人だ、私やお前なら何人で襲いかかられようとなんとでもできるさ」
ホープはとても心配そうに手を伸ばし私の肩に触れた
くすぐったくて身を震わせる
「僕はあなたが心配なんですよ…あなたは女性なんですから…そうだ!明日からできる範囲で一緒に帰りましょうか。」
「だがホープ、お前の仕事が忙しいだろう。私なら大丈夫だ」
次の日から警戒してみてはいたものの、特に変わった事もなく日常を過ごしていた。
はずだった。
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