少しして戻ってきたシセラの手には、肌色の薄手のブランケット。
一度広げてから、ふわりと優しく肩にかける。
満足そうな笑みを浮かべると、シセラはそのまま向かいのソファで詩集を読み始めた。
「…ん」
太陽が傾き、朱の夕陽が窓から差し込む。その頃にレイは目を覚ました。
しばらく、ぼうっとしていたが、やがて体が不思議と暖かい事に気付く。
そして、肌色のブランケットが視界の端に入った。
「お目覚めですか、マスター」
そこで、ようやくシセラが声をかけた。
「…あぁ」
レイが頷く。
その視線が、シセラの手の中の本に向けられた。
「それは―」
レイが顔を上げる。視線を受けて、
「本棚で見つけたんです。この本…」
シセラは、ニコッと微笑んだ。
「天界でも読んだことあるんです」
嬉しそうに話すシセラを見て、レイも僅かに表情を和ませた。
[←] | [→]
back