コンコン、と小さくノックが聞こえる。
シセラの部屋の前。
レイはもう一度ノックをする。
…返事は、無い。
どうやらシセラは寝ているようだった。
できるだけ、音をたてないように、ドアを開け、中に入る。
案の定、シセラはベッドの中で、熟睡していた。
頬が、先刻よりも赤らんでいる。
額に触れると、体温も上がっているようだった。
「…ん、…?」
シセラが呻き、レイが額から手を離す。
少し開いた目が、閉じ、また開かれる。
焦点の合ってない瞳が宙をさまよい、レイに合わさる。
すると、一瞬で、目が大きく開かれた。
「っ、マスター?」
焦る声を発し、ベッドからガバッと跳ね起きる。
が、体に力が入らず、シセラは、後ろに倒れ込んだ。
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